清田ダイアリー KIYOTA DIARY
コロナ禍のおせち商戦。ポイントは「感染防止」と「おひとりさま」
食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気
2020年11月01日
新型コロナウイルス禍で迎える初めてのお正月がもうすぐそこに。今年のお正月には、世界中を巻き込んでこんな事態に陥るとは夢にも思っていませんでした。来年のお正月は、どんな年の始まりになるのでしょうか。
密が予想される初詣に関しては、10月、政府に先立って30都道府県の神社庁が新型コロナウイルス対策のガイドラインを作成。マスクの着用を求める、手水舎の柄杓や拝殿の鈴の緒の利用を取り止める、三が日にこだわらず1月中に参拝するなど日にちをずらすことなどを呼び掛けています。
取り分けないおせち
百貨店は、9月中頃から2021年のおせちの予約を始めています。各社、ウイルス感染を気にする生活者が多いと見込み、取り分けないおせちに注力しています。例えば高島屋は、一重に1人分のすべての料理を詰め合わせた取り分け不要のおせちを、そごう・西武も取り分けなくていいように、透明なカップに料理を1品ずつ小分けにしたものを組み合わせたおせちを企画しています。
お重の意味はいずこに
おせちといえば、お重。地方によって多少違いますが、一の重は黒豆や数の子、田作り、紅白かまぼこなどの「祝い肴」、二の重はきんとんや伊達巻き、昆布巻き、紅白なますなどの「口取り」、三の重は「焼き物」、四の重は「煮物」と決まり事があります。今では珍しくない、中華やフレンチ、イタリアンのおせちは、この料理の決まり事に反していますが、一重にすべての料理を盛り付けてしまう ”取り分け不要のおせち” は「福が重なる」「めでたさが重なる」というお重の意味に反します。
今冬の鍋料理は、 ”一人鍋” が流行ると予想されていて、これも「ひとつ鍋をつつく」という鍋の流儀からは外れます。人と人を隔ててしまうのがウイルスの恐ろしさ。コロナは、食事や料理の在り様も変えてしまいました。
自宅でおせち、近場でおせち
さらに百貨店各社は、来年のお正月は実家に帰省せず、自宅でおせちを楽しむ生活者が増えると想定。 ”おひとりさま” 用のおせちを例年以上に増やす計画です。因みに松屋の調査では、来年のお正月を自宅で過ごす意向の生活者は74%と、今年と比べると約10ポイント増えています。
振り返れば、今年のお盆休み。ウイルス感染を気にして帰省しない人が多かったようで、新幹線の利用客は前年同期比で軒並み7割減。飛行機も同様だったといいます。ただ、来年のお正月は、「Go Toトラベル」に東京が追加されています。人の行き来もお盆に比べればいく分活発になるでしょう。とはいえ、高齢の両親のことを考えてウイルス感染の危険を回避するために実家には泊まらず、「Go Toトラベル」を利用して近くのホテルで楽しむ人も多いでしょうし、以前のように家族や親戚が集まって食事をするのもためらわれるでしょう。その意味では、多様なおせちの提案は、コロナ禍ならではです。
おせちのペア購入提案
ユニークな展開もあります。「Oisix」のおせちのペア購入提案です。オイシックス・ラ・大地が7月、幼児から小学生の子どもがいる家庭を対象に実施した調査では、調査時点で帰省や旅行などを控えている、予定を決めかねているといった回答が合わせて84%に上りました。そこでオイシックス・ラ・大地が運営する食品宅配サービス「Oisix」では、年末年始の帰省予定が立てられない家庭向けに、自宅用と実家用にペアで購入することを提案しています。期間中に2個以上予約、購入するとポイントが付与されるキャンペーンも実施していて、「お正月は帰省しないので、家族や親戚におせちを贈りたい」という生活者にアピールしています。
デリバリーやテイクアウトに商機アリ
外食市場に目を移すと。ここ数年、人手不足と働き方改革で、元旦や三が日を休業にする店舗が増えました。来年はどうでしょう。都市圏においては、年末年始を自宅で過ごす人が増えるでしょうから、飲食店にとってはビジネスチャンスです。人手がかかる店舗の営業はしなくても、デリバリーやテイクアウトでちょっと高めのハレメニューを提供する飲食店は増えると思います。一方ホテルなど宿泊業各社は、すでにさまざまなお正月プランを販売。「Go Toキャンペーン」を利用して近場で贅沢なお正月を過ごそうと考える生活者も多く、すでに完売しているプランもたくさんあります。
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清田産業では、メニュー、レシピ、調理方法、試作など、ご提案から開発までワンストップで対応します。豊富な経験と研究開発実績から、付加価値の高い製品開発を実現します。
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この記事を書いた方
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株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子
加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。
http://himeko.co.jp/