清田産業株式会社

清田ダイアリー KIYOTA DIARY

コロナ禍で注目の ”新商品 & 新サービス ” 〜注目の理由に、ヒットの可能性が?!(後編)〜

食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気

山下智子
株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授 山下智子

2021年07月01日

コロナ禍で注目の ”新商品 & 新サービス ” 〜注目の理由に、ヒットの可能性が?!(後編)〜

 新型コロナウイルス禍で節約志向が強まる市場にあってなお、各社、知恵を絞り、売れる商品やサービス、ウケる販促を提案しています。それらを13の切り口で分け、前号に続いて、商品やサービス、販促の実例を紹介します。

6. 意外性がもたらす驚きと興味で魅せる

  “エー?” という驚き、 ”そんなバカな” という疑念、 ”ヘン!” と思わせる興味。それが魅力となっている商品やメニューがあります。期待以上の味、おもしろさが提供できれば、ヒットも夢ではありません。

明星食品「明星 麺とスープだけ 黄金鶏油中華そば」
画像引用元:PR TIMES 明星食品「明星 麺とスープだけ 黄金鶏油中華そば」
例えば】
福徳海苔「佐賀海苔 くろかネーズ」、パパブブレ「土佐のおつまみミックス」、明星食品「明星 麺とスープだけ 黄金鶏油中華そば」、築地まる武食堂「玉かつ」

7. 色で驚いたり、楽しくなったり。五感消費を狙う

 カラフルな食品は、インスタ映えする、カワイイ、エモいなど、特に女性に人気になります。過去には、「五感消費」というキーワードが2007年から7年間連続で挙がりました。「五感消費」とは、食を温度、色、香り、食感、音の5感で楽しむ消費です。因みに昨年は、香りと音(ASMR)で楽しませる食が流行りました。市場が低迷するなど、大きな商品開発がしにくいとき、「五感」に訴える商品が多くなります。

41パーソン「Happy Color Pancake Mix」
画像引用元:PR TIMES 41パーソン「Happy Color Pancake Mix」
【例えば】
不二家「ルック 青い宝石」、ヴィレッジヴァンガード「PERONI」、41パーソン「Happy Color Pancake Mix」、三輪そうめん小西「みわのにじ」、しゃぶしゃぶ温野菜「極み梅だしのみぞれたんしゃぶ」

8. “栄養は食品で摂りたい” ニーズに呼応する

 コンドロイチンやセサミンなどの成分をアピールする高齢者向けサプリメント市場は成長していますが、日本全体を見れば、サプリメント市場はまだまだ発展途上です。それは、 “栄養は食品で摂りたい” というニーズが日本人には根強いからです。食品に機能性を添加するのではなく、栄養価を観点に素材から見直した商品が開発されています。

ミツカングループ「ZENB NOODLE」
画像引用元:PR TIMES ミツカングループ「ZENB NOODLE」
【例えば】
ミツカングループ「ZENB NOODLE」、フジッコ「ダイズライス」

9. ありそうでなかった! あったら使ってみたい、食べてみたい

 ニーズの掘り起こし的な商品が多く、当たれば大きな可能性を持っています。
 ありそうでなかったのが、アスザックフーズの3個パックの豆腐用調味食品「豆腐があれば1品シリーズ」です。フリーズドライ食品の開発が得意な、アスザックフーズが自社オンラインショップで販売しています。冷蔵庫に常備しやすい3個パックの豆腐の1個分(約150g)を使って、電子レンジで温めたり、和えたりするだけで簡単に豆腐惣菜が作れます。貝柱や卵、ねぎを使用した「ふわとろあんかけ豆富の素」、ほうれん草や人参、ひじきが入った「豆腐と和える白和えの素」、牛肉やぶなしめじ、春菊を使い、少し濃いめの甘じょっぱい味付けにした「肉豆富の素」の3種が揃います。価格、パッケージ等の問題をクリアすれば、おもしろい商品になると思います。

アスザックフーズ「ふわとろあんかけ豆富の素」
画像引用元:PR TIMES アスザックフーズ「ふわとろあんかけ豆富の素」
アスザックフーズ「豆腐と和える 白和えの素」
画像引用元:PR TIMES アスザックフーズ「豆腐と和える 白和えの素」
アスザックフーズ「肉豆富の素」
画像引用元:PR TIMES アスザックフーズ「肉豆富の素」
【その他の例】
じき宮ざわ&ごだん宮ざわ「宮ざわ特製 薄垂惣酢(ウスターソース)」、ソントン「ポテトースト カレー味」、エスビー食品TUBER STYLE「きざみ福神漬け」「きざみらっきょう」「紅しょうが」、エスビー食品「ヨーグルトでつくる!シーズニング」

10. あるにはあったが、コロナ禍だからウケる!

 以前からあった、今はないがかつてあった、そんな商品の中に、コロナ禍の今だからウケる可能性を秘める商品があります。
 節約志向が強まる今、思いっきり汎用性を意識して発売されたのが、2月にECおよび一部チェーン限定で販売された、ミツカンの「いつもの調味料と合わせるだけ! みりんタイプ」です。 ”家にある調味料と混ぜるだけで、お馴染みの料理が簡単に作れる” と謳う、みりんタイプの調味料です。例えば、しょうゆと合わせると、肉じゃがや照り焼きの調味料に、みそと合わせると、サバのみそ煮や回鍋肉の調味料になります。ここまではみりん風調味料なのだから当たり前なのですが、マヨネーズと合わせるとエビマヨに、ケチャップならエビチリやナポリタンにと、家庭にある調味料と合わせるだけで、さまざまなメニューの合わせ調味料が、これ1本で作れるとアピールしています。それが本当なら、料理ごとに簡便調味料を買う必要がなく、手軽に料理のレパートリーが広がります。是非、試してみたい! と思い ”ミツカンお客様相談室” に電話すると、驚くことに「この商品、今も販売している “煮物カンタンみりんタイプ発酵調味料“ と中身は同じなんです」とのこと。プレスリリースの成分を見ると、まさしく同じ中身です。プレスリリースには、「新発売」とあります。 “煮物カンタン みりんタイプ発酵調味料“ なら気にもしないのに、 ”さまざまなメニューの合わせ調味料が、これ1本で作れる商品” と謳われると興味が湧いてしまいます。
 何となく、「まんまとだまされた!」感があり、でも「やはり試してみたい!」と思わせる商品。これで売れたら戦略勝ちです。

ミツカングループ「いつもの調味料と合わせるだけ!みりんタイプ」
画像引用元:PR TIMES ミツカングループ「いつもの調味料と合わせるだけ!みりんタイプ」
【その他の例】
金澤ななほしカレー「薑(はじかみ)」、日清オイリオグループ「コクと旨みのやみつきオイル」、ヤスマ「カスタムメイドスパイス」、大森屋「パスタのためのスパイスふりかけ」

11. 気分が上がりそう! “試してみたい” を刺激する

 家庭で料理をしたり、デリバリーをしたりする機会が増え、そろそろルーティーンな食に飽きが来ています。もっと遊び心を出したい、いつもと違う雰囲気で食事をしたい。そんなニーズに応える商品です。

ドミノ・ピザ ジャパン「ワールド10チーズ・クワトロ」
画像引用元:PR TIMES ドミノ・ピザ ジャパン「ワールド10チーズ・クワトロ」
【例えば】
国分グループ本社「K&K "CAN” Pの達人」シリーズ、ドミノ・ピザ ジャパン「ワールド10チーズ・クワトロ」

12. 「物は言いよう使いよう」でおもしろくなる

 どんな物でも、表現によってはおもしろくなるし、言い方によっては商品力がアップするー。そんな商品です。

JAにしうわ「家で働くひとの西宇和みかん」
画像引用元:PR TIMES JAにしうわ「家で働くひとの西宇和みかん」
【例えば】
JAにしうわ「家で働くひとの西宇和みかん」、埼玉県小鹿野町「秩父黄金かぼす」、豪州食肉家生産者事業団「bf 食べる美容液」

13. 切り口が楽しいと“手間要らず”が興味と楽しさを生む

 家で食事をする頻度が増える中、 “簡単” “便利” だけでなく、 “新しさ” 、もっと言えば”斬新さ”のあるメニューや合わせ調味料の需要が増しています。切り口が斬新だと、“手間要らず”の簡便商品というやや後ろめたさを伴う商品に、興味と楽しさが生まれ、マイナスの部分が払拭されて使うべき理由が増えます。
 日清フーズが発売した「カップでつくる お好み焼セット」は、 ”ラクまぜカップ” として、即席麺に使用する合成樹脂のカップを容器に採用。ボウルの代わりに使えます。空になったミックス粉の袋で水の計量もでき、ボウルや計量カップが要らず、使ったら、そのまま捨てられます。ちょっとしたことなのですが、簡便さと楽しさが同時に得られる商品です。

【その他の例】
昭和産業「もう包まない! 混ぜ餃子の素」、丸美屋食品産業「サラダボウルの素」、日本ハム「袋のままできるオムライス」

付加価値の高い
食品・製品を開発します

清田産業では、メニュー、レシピ、調理方法、試作など、ご提案から開発までワンストップで対応します。豊富な経験と研究開発実績から、付加価値の高い製品開発を実現します。

  • 付加価値の高い食品・製品を開発します

    全国屈指の取扱原材料
    10,000種類以上

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    多角的な視点からの
    課題解決

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    掛け算のアイデアと
    開発力

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この記事を書いた方

山下智子

この記事を書いた方

株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子

加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。

http://himeko.co.jp/

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