清田産業株式会社

清田ダイアリー KIYOTA DIARY

スーパーもコンビニも、ディスカウントショップもドラッグストアも。小売業で高まるヘルシー戦略の波

食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気

山下智子
株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授 山下智子

2016年08月01日

スーパーもコンビニも、ディスカウントショップもドラッグストアも。小売業で高まるヘルシー戦略の波

 スーパーフードに高品質オイル、機能性食品などなど、生活者の根強いヘルシー志向を背景に、健康を謳う商品は多岐に渡り、購買層も広がっています。そんな消費の拡大を受けて、今、スーパーはもちろん、コンビニやディスカウントショップ、ドラッグストアも、ヘルシー系商品を主力商材と位置付け、販売に力を入れています。

健康をテーマにした商品施策と陳列方法/スーパー

 食品スーパー各社が、ヘルシーをテーマにした商品施策に積極的に乗り出しています。ヤオコー朝霞岡店(埼玉)では、健康志向の精肉として、国産豚赤身挽き肉や鶏挽き肉を強化。朝食用に糖質カットのブランパンなどを提案しています。またヨークベニマル守谷店(茨城)では、健康茶やサプリメントなどを集めた健康コーナーを設けています。そのほか各社、スーパーフードをコーナー化したり、商品の陳列方法でも、 “カロリーオフ・ゼロ” “減塩” “低糖質” “美容・ダイエット” “栄養補給” “食物繊維” “野菜不足対策” といった切り口で商品を集めてアピールしたり、生鮮に関しても、機能性のある野菜を店頭に並べるなどして、低価格競争に巻き込まれにくい健康関連商品の販売に力を入れています。
 またライフコーポレーションは今の夏、 “心も身体も健康で美しく豊かな毎日を過ごしてもらいたいと願うスーパーマーケット” をコンセプトにした新業態「ビオラル」を大阪に出店します。「オーガニック、ローカル、ヘルシー」と「安心、トレンド、高質」を意識した、生鮮食品や惣菜、日配品、加工食品をラインナップ。商品アイテムを絞り込むことで、通常取り扱う品揃えを最低限にし、その分、自然派や健康志向の商品を増やします。今後の検証で将来性が見込めれば、関東にも展開していく方針といいます。

スーパーの陳列棚の商品を眺めている女性の買い物客

療養食を揃える店を病院内に出店/コンビニ

 コンビニ業界では、ファミリーマートが病院内の14店舗で、食事制限が必要な生活者向け ‟療養食” の販売を始めました。商品としては、タンパク調整米を使用した巻き寿司や鶏の煮込み丼、塩分をカットしたカップ麺や砂糖代替甘味料を使った商品などを揃えます。
 病院で、糖尿病や腎臓病などと診断された患者は、医師や管理栄養士の指導を受けた後に、患者に合った商品が書かれた「注文票」を渡され、それに基づいてコンビニの売り場で購入してもらうというシステムです。療養食はネット通販が主流で、ドラッグストアでの扱いもまだ少なく、 “どこで買えばよいか分からない” という生活者の声に応えての展開です。さらに店内において、糖尿病や腎臓病などの患者用に約90品目を揃えた専用コーナーの設置も始めています。ファミリーマートは、このような店舗を、2017年度までに200店に広げる計画です。
 また同じくコンビニ業界では、ローソンが、低糖質パンや減塩弁当など健康志向食品の販売を強化すると発表しました。健康関連商品の売上高を、2年後には、5割増の3000億円に引き上げるとのことです。女性や高齢者の関心が高い健康を前面に打ち出すことで集客力を高める戦略です。

多種多様なコンビニ弁当

健康志向商品をメーカーと共同開発/ディスカウントシヨップ

 安売りが主体のディスカウントショップにも、ヘルシー志向の波が来ています。ディスカウントセンター・オーケーは、ハム・ソーセージ商品の9割以上を、亜硝酸ナトリウムなどの発色剤を使わないオリジナル商品に切り替えました。
 オーケーは、2000年頃から、食の安全安心に関心が高い生活者を掴むため、惣菜やベーカリー商品を無添加にしたり、有機野菜を扱う売り場を設けたりしています。ハム・ソーセージの場合、発色剤を使わずにおいしく作ることは、専門メーカーにとっても難しい課題です。オーケーの注文通りに発色剤を使わない商品が揃ったのは、オーケーが約15年かけてメーカーに要請し続けた結果だといいます。今後も、健康に配慮した安価な商品を充実させ、生活者のヘルシー志向に応えていく方針です。

ソーセージとハム

低価格のヘルシー惣菜で単身者と共働き世帯を集客/ドラッグストア

 食品の販売を強化しているドラッグストアでは、値ごろ感と健康志向をウリにした惣菜売り場の展開を始めています。福井県を拠点にドラッグストアを展開するゲンキーは、集客力強化の一環として総菜売り場を各店舗に設置。調理が不要なカット野菜やサラダ、ひじき煮、きんぴらごぼうといった低価格、低カロリー、塩分控えめな惣菜を多数並べて、ひとり暮らしの高齢者や共働き世帯の取り込みに成功しています。

器に小分けにされたバラエティ豊かなお惣菜

 節約志向が常態化している市場において、生活者の購買意欲を刺激する最も有効なアピールは、 “ヘルシー” という付加価値と、皆が判断しているようです。

付加価値の高い
食品・製品を開発します

清田産業では、メニュー、レシピ、調理方法、試作など、ご提案から開発までワンストップで対応します。豊富な経験と研究開発実績から、付加価値の高い製品開発を実現します。

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この記事を書いた方

山下智子

この記事を書いた方

株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子

加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。

http://himeko.co.jp/

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