清田ダイアリー KIYOTA DIARY
グルテン・フリー製品
食にかかわるアメリカの業界情報
2020年01月01日
自己免疫疾患の一つであるセリアック病をはじめ、グルテン非耐性、小麦アレルギーの人など、小麦類に含まれるグルテンによって健康被害を生じる人は少なくない。
今回はそういった症状をもつ人を対象とした、グルテンフリー製品について紹介する。
グルテン・フリー製品について
胃腸病の一つにセリアック病というのがある。これは自己免疫疾患で身体に異物が入ると、正常な場合は免疫系が異物からの反応を抑えるように働くのであるが、自分自身の細胞や組織に過剰に反応し、攻撃を加えてしまい症状が起こるものである。小麦のグルテンはパンやケーキなどを作る時にその構造を作る非常に重要なタンパク質であるが、これが自己免疫反応で小腸にダメージを与えて重い症状がでる病気である。重篤な場合は死亡に至る場合もあるが、症状が軽い人もいる。
アメリカでは人口の0.8%がセリアック病であると言われており、セリアック病ではないがグルテンを食べるとお腹の調子が少しおかしくなる非耐性や、小麦に対してアレルギーの人もいる。このような人は、グルテンが入っている小麦、バーレイ麦、ライ麦、デュラム小麦、セモリナ小麦などの小麦類の入った製品を避ける必要がある。
アメリカのスーパーマーケットにはグルテンフリー製品は市場に多く出されている。FDAの規則ではグルテンが20ppm以下の製品にはグルテンフリーと表示ができる。また当然小麦グルテンなどを使っていない肉製品や飲料でもグルテン・フリーと表示できる。グルテン・フリー製品を認定する団体もあり、グルテン・フリーの認証ロゴをつけている製品も多い。
ベーカリー製品におけるグルテン・フリー製品
パン、ケーキ、クッキー、クラッカーなどのベーカリー製品にはほとんどに小麦粉が使われているので、ベーカリー製品のグルテンフリー製品は多い。
Franz Bakery社
例えば、アメリカ西部の大手のベーカリー会社であるFranz Bakery社は、グルテン・フリーの”Gluten Free Seven Grain Bread”を出しているが、この成分は、玄米粉、タピオカ・スターチ、タピオカ・シラップ、全粒ソルガム粉、キサンタンガム、全粒ミレー穀粒、(以下2%以下)卵、全粒ミレー粉、全粒アマランス穀粒、全粒テフ穀粒、赤キノア穀粒、オリーブ油、モラシス、塩、発酵米粉、イースト、酵素である。
ConAgra Foods社
”Udi's”はConAgra Foods社のグルテン・フリー製品ブランドで、パン製品、マフィン、パスタ製品、トルティーア、クッキー、グラノーラ、冷凍ピザ、冷凍ミール製品など多くのグルテン・フリー製品を出している。その冷凍ピザ製品の1つである”Uncured Pepperoni Pizza”のクラストの成分は、玄米粉、タピオカ粉、米でん粉、卵白、ホエイ、パーム油、イースト、油ブレンド(キャノーラ/オリーブ油)、砂糖、塩、キサンタンガム、硫酸カルシウム(保存剤)である。
家庭におすすめのグルテン・フリー粉製品やミックス製品
家庭でグルテン・フリーのものを作りたい人には、グルテン・フリーの粉製品やミックス製品も販売されている。例えば、ヒヨコマメ粉、ポテト・スターチ、タピオカ・スターチ、ホワイトソルガム粉、ソラマメ粉を使ったBob's Red Mill社の”All Purpose Baking Flour”や、米粉、亜麻仁種、ソルガム粉、キノア粉、そば粉、アマランス粉を使ったDebbie Kay' s Kitchen社の”Gluten Free Pancake& Waffle Mix”がある。
米粉、スターチ以外に豆の粉を使った製品も
クッキーやクラッカー、ケーキ製品、バー製品など多くのスナック製品にはグルテン・フリー製品がだされている。これらは主に米粉とスターチなどを使った製品が多いが、最近は豆の粉を使った製品も多く出されている。
ミール製品など、ベーカリー以外のグルテン・フリー製品
ベーカリー製品以外で小麦が入っているかどうかわからない製品もある。例えばミール製品、ソース類、香辛料など少量の小麦粉が原料として使用されている可能性はある。
このようなことから、例えば、加熱するだけで食べられるグルテン・フリーの”Birds Eye"ブランドのチキンナゲッツには、ころもには米粉、ヒヨコマメ粉、コーン粉が使われている。
また醤油やソース類でも小麦が使われている可能性があるが、グルテン・フリー製品が出されており、BBQソースでもSaz's Hospitality Group社がグルテン・フリーのBBQソースを出している。
最後に
少量のグルテンでも反応するセリアック病の人にとっては製品にグルテンが入っているかどうかは大事な問題である。グルテン非耐性、小麦アレルギーの人であっても自分で気がついていない人もいる。
食事をして少しでも身体の調子が悪くなる人は、グルテンあるいは小麦類が原因であるかもしれない。少しの間、小麦の入った食品を避け、グルテンフリー製品を食べてそうした問題が起こらず、また少したってグルテンの入っている食品を食べて身体の調子がおかしくなる場合は、グルテン非耐性あるいは小麦アレルギーである可能性が高いので、グルテンフリー製品を選択する方が良いであろう。
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この記事を書いた方
この記事を書いた方
JTCインターナショナル社長吉田隆夫
アメリカのフロリダ大学の分子進化研究所で2年間研究、さらにシラキュース大学で後にノーベル賞受賞された根岸英一先生の教室で2年間有機金属化学を研究し、IFF社の研究所で約11年間香料の研究。その後、カーリンフード社(後にブンゲ社)に5年勤務、独立して食品産業のコンサルタントを30年以上続けている。アメリカ食品産業研究会、e-食安全研究会、クリエイティブ食品開発技術者協会を設立し、その活動をしている。
http://www.e-syoku-anzen.com/