清田ダイアリー KIYOTA DIARY
ノルウェイの味
自然豊かな陸の幸、海の幸の味
2021年05月01日
北欧の中でも最も北に位置し、海沿いを国土とするノルウェー。豊かな自然の恵みを存分に味わえる食材の良さがシンプルな料理に直結している。今回はノルウェーの味について解説する。
ノルウェイについて
ノルウェイは北ヨーロッパの立憲君主国で、国名は「北方への道」を意味している。建国は1905年でスウェーデンより独立した。
北緯58度から71度にかけて南北にわたる細長い国である。国土の大部分は標高1,000〜1,200メートルの高地で大西洋岸は有名なフィヨルドとなっている。
自然条件の厳しい国であるが緯度の高い割合には気候は温和で、北極圏にあるトロムセでも2月度の厳寒期の平均気温は零下4度で、札幌の1月の平均気温の零下5.9度より暖か。
また第一次大戦では中立を堅持、このため食の輸入は途絶、困難な時代を過した。第二次大戦でもドイツの急襲を受け連合軍はノルウェイを放棄。ドイツ軍に占領された。ドイツの敗戦で退却するドイツ軍によって焦土と化し、つらい過去を持っている。
ノルウェイの産業

農耕面積は国土の約3%で食糧は輸入に依存しているが、世界3大漁場の一つで水産物には恵まれている。鮭・鱒・鰊・鱈・鯖など日本にも輸出。現在の人口は450万人。
北海油田を始め石油や石油ガスの大産出国となって30余年が経つ。原油生産では年4兆円以上を稼ぎ世界有数の富裕国と変わった。産量は世界2位のイランとほぼ肩を並べる実力を持っている。
現在のノルウェイは森林から、材紙バルブ建築資材家具などを輸出。また欧川有数の化学肥料生産国である。主な産業分野で、薬品電子機器造船アルミニウム・マグネシウム・フェロニッケルの主要生産国である。対日市場向けには食品(主として魚)・住宅・建材家具ヘルスケア海洋養殖機械などがある。
ノルウェイの漁業
ノルウェイは冷たく澄んだ海に面した1,000キロに及ぶフィヨルドを始め、内陸から沿岸まで雄大な自然を持ち世界有数の漁業大国である。この代表がノルウェイサーモン。品質のすばらしさと豊かな味わいで、世界150ヵ国以上の人々に愛されている。ノルウェイの養殖業者は生鮮サーモンを魚体温度を零度から摂氏4度の低温で保ちながら、水揚げ後2時間以内に梱包。また冷凍サーモンはマイナス35度で急速冷凍する。品質重視の国と云えよう。
また鯖は日本近海のマサバやゴマサバより大ぶりで背中のシマ模様がくっきりとしている。脂肪含有度も30度と脂がのり美味。ノルウェイの食事は1日4回。朝食は7時から9時半ごろまで。他のスカンジナ諸国より充実している。食べる事は健全な精神と体力をつけるため必要としてモリモリと食べる。その内容は素材を生かしたアサリ味が特徴で水産国のため魚介類が多い。
ノルウェイの食事と料理

にしんの酢漬、チーズ、ベーコン、ソーセージ、卯料理、サラダ、果物、ジュース、パンなどとテーブルを飾る。ンク式でこれをノルウェイではコル・ホールとよぶ。昼食は意外に簡単で12時から1時ごろまで。オープンサンドイッチ(ノルウェイではスモールフロート)と軽い食べ物である。
夕食は4時ごろから始まり6時半ごろまで。ノルウェイの名物料理が楽しめる。ミッタータ=正餐とよんでいる。人気のメニューではほうれん草のスープやヘルケン風の魚のスープがある。正しい名前はヘルケル・フィスケスズッべでフランスのブイヤヘースに匹敵。
肉料理

主菜としてトナカイの肉のステーキ。雷鳥のサワークリーム煮、山しぎのソティ、タラの塩茹てに卯ソース和え。魚のプディング。鯖のオイル焼き、じゃがいものバター蒸しなど。食べてみると何れも美味で忘れられない。
山野の多い国のため野生の動物が多く、トナカイ、雷鳥、鹿、野兎、山しぎ、きじほかがよくとれる。肉質がよく風味が高いが、やや臭みが強いため、ななかまどの実のジャムやコケもものゼリーをかける。野趣豊かな味が楽しめる。
魚料理

魚で美味しいのは鮭、鱒、鱈、鯖など。どれも抜群の鮮度。この新鮮な魚は毎日食卓を飾る。しかし料理法はあまり多くない。
この理由は色が新鮮であるから、アッサリとして持ち味を生かす事に重点がおかれる。鮮度が生命で、鮭は丸のまま茹でて熱い時はパセリ入りのバターで、冷めてからはホースラディッシュ入りのバターで食べるのがよいとする。鮭は貴重で尊敬される食べ物で、茹でる、くん製、ディル漬けなど万能。
鱈で人気の高いのは塩茹で、珍重するのは頭と尾の部分。長い冬に向ってくん製、塩蔵、干物づくりに利用される。
チーズ
またチーズの大消費国で小さな都市のホテルの朝食にもにしん加工品とともにならぶ。一人当たりの消費量も年間で12キロをこえ酪農国テンマークよりも多い。またバラエティも多く青カビチーズやミゾーストは人気者である。
さいごに
ノルウェイは食糧に対して大切に扱う気質が高く、質実にしておこるところが全くない。健康的で心暖まるメニューが多く、大自然の味、高鮮度の味が楽しめる国とよべよう。
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この記事を書いた方
この記事を書いた方
食品評論家太木光一
1947年早稲田大学商学部卒業。同年昭和産業に入社し、一貫して調査業務に携わる。調査部長を経て1979年に退社するが、在社当時から食品と食品産業について新聞・雑誌に健筆をふるい、食品産業評論家として活躍する。通産省中小企業振興事業団の需要動向委員のほか多くの政府委員を歴任するとともに食品メーカー、問屋、高級食料・食品店の顧問にも就いていた。海外視察は280回以上に上る。主な著書は「日本の食品工業」(共著)、「新・一般食品入門」、「惣菜食品の強化技術」、「食材の基礎知識」など多数。