清田産業株式会社

清田ダイアリー KIYOTA DIARY

海藻を使った食品

食にかかわるアメリカの業界情報

吉田隆夫
JTCインターナショナル社長 吉田隆夫

2023年10月17日

海藻を使った食品

 海草は海に囲まれた日本やアジアの国では普通に食材として普遍的に使用されているが、世界の食品市場を見てみると、北欧やヨーロッパの一部の地方をのぞいて海草は食材としては限られた利用しかされていなかった。海草にはたんぱく質、ビタミン、ミネラル、特にヨウ素、食物繊維が豊富に含まれており、ポリフェノール、ポリサッカライド、ステロールなども含まれているので、栄養的にみても健康的な食材である。
 今回はアメリカで広がる海藻を使った食品を紹介する。

カリフォルニアロールの海苔革命

 アメリカやヨーロッパの食事では海草は最近になって注目されるようになった。以前はダイエットしている人がサラダに加えるくらいであったが、最近は加工食品にも使われるようになってきている。日本の寿司がアメリカで食べられるようになった時には、真っ黒な海苔を気味悪く思う人がほとんどであったが、寿司ロールがカリフォルニアロールの導入で、次第に西海岸地方を中心にポピュラーになり、さらに今ではアメリカ全土、ヨーロッパで日本の寿司や寿司ロールは幅広い人に食べられるようになった。

韓国海苔の登場

 海苔をさらにアメリカでポピュラーにしたのは、韓国の海苔である。数年前、韓国の会社が韓国海苔をそのまま小さくカットして、10枚くらいをパックしたスナックとして販売したところ、アジア人だけでなく、アメリカ人の子供なども食べだし、非常に販売が伸び、海苔をスナックとして食べることがアメリカで流行った。今では、このブランドを含めて多くの会社が韓国海苔を小さく切って、フレーバーをつけた製品が多く出されている。

CJ Cheil Jedang社のブランド、Annie Chun’sの"Organic-seaweed-snacks"

CJ Cheil Jedang社のブランド、Annie Chun’sの"Organic-seaweed-snacks"
画像引用元:Annie Chun’s公式ブランドサイト(https://anniechun.com/)

 その一つのブランドには、”Annie Chun’s”ブランドがある。このブランドは韓国のCJ Cheil Jedang社のアメリカの子会社のブランドで、韓国の食品を中心にアジアの食品をアメリカ風にして製造して販売している。韓国海苔は岩ノリに少し油と味付けをしており、食べやすいために売れたのであろう。しかし、その前に寿司ロールで海苔が広く食べられるようになったことが大きな要因でもある。

海藻を使ったバラエティ豊かなスナック商品

 この海苔スナックと同じころに、海草一般にその健康性から関心が高くなっていった。最近出ている海草を使った製品をいくつか紹介してみよう。

Sea Snax社の”Chomperz”

Sea Snax社の”Chomperz”
画像引用元:Sea Snax公式サイト(https://www.seasnax.com/)

 Sea Snax社が出している”Chomperz”は、海藻が入った魚の形をしたチップスで、”Original”、”Onion”、”Jalapeno”、”Barbecue”の4種類のフレーバーがある。最近では、ワサビ・フレーバーの大きな袋製品も出している。”Original”の成分は海草、モチ米粉、米ぬか油、タピオカスターチ、海塩、粉末オニオンである。この会社は、”Annie Chun’s”のような普通の板状の海苔製品や、わかめなど他の種類の海草を乾燥したミックス製品、乾燥わかめ、乾燥昆布なども販売している。

Snacks from Sea社の”Kelpie Chips”

Snacks from Sea社の”Kelpie Chips”
画像引用元:Snacks from Sea公式サイト(https://www.snacksfromthesea.com/)

 ”Kelpie Chips”はSnacks from Sea社という会社が出しているもので、乾燥してフライした昆布に、少しの油でアメリカ風のフレーバーを付けただけのものである。”Zesty Pizza”、”Chipotle”、”Apple Cinnamon”の3種類のフレーバーで出している。

Public Goods社の”Seaweed Snacks”

Public Goods社の”Seaweed Snacks”
画像引用元:Public Goods公式サイト(https://www.publicgoods.com/)

 ”Seaweed Snacks”は、Public Goods社が出している海草のスナック製品で、マルトース、黒モチ米、海苔、アーモンド、白ごま、醤油、塩から作ったスナック製品で、食物繊維とプロテインを多く含み、ヨードを多く含んでいるので、甲状腺の健康にいいとしている。

12 Tides社の”12 Tides Puffed Kelp Chip”

12 Tides社の”12 Tides Puffed Kelp Chip”
画像引用元:12 Tides公式サイト(https://12tides.com/)

 12 Tides社は海草を使ったパフ製品のスナックを”12 Tides Puffed Kelp Chip”として出している。この会社は、海洋のエコシステムを保つ海草を再生農業として養殖しているものを使っている。”Sea Salt”、”Everything”、”Chili Pepper”、”Truffle & Pepper”、”Vegan Cheddar”の5種類のフレーバーがある。包装も生分解性のある材料を使っている。成分としては、海草(アメリカ東海岸北部のもの)、カッサバ粉、タピオカスターチを使っている。

Lindberg Family Farms社の”Sesame Seaweed Rice Chips”と”Whole Grain Rice Cakes”

Lindberg Family Farms社の”Sesame Seaweed Rice Chips”
画像引用元:Lindberg Family Farms公式サイト(https://www.lundberg.com/)

 カリフォルニア州にある大手のコメの製造会社Lindberg Family Farms社はチップス製品”Sesame Seaweed Rice Chips”を出している。海苔とゴマでフレーバーを付けたコメで作ったオーガニックのチップス製品である。海苔はねり込まれているので余り入っているかどうかが分からない。トルティーア・チップスを米粉で作ったようなものである。他には、”Fiesta Lime Rice Chips”と”Santa Fe Barbeque Rice Chips”がある。

Lindberg Family Farms社の”Whole Grain Rice Cakes”
画像引用元:Lindberg Family Farms公式サイト(https://www.lundberg.com/)

 この会社は玄米を使ったライスケーキにたまり醤油と海苔でフレーバーを付けたスナック製品”Whole Grain Rice Cakes”を出している。この製品はオーガニック認証で、non-GMO、グルテンフリーで、100%全粒穀類製品である。ライスケーキはアメリカではダイエット用に女性がよく食べている。

Nora Seaweed Snacks社の”Seaweed Snack - Tempura Spicy Flavor”

Nora Seaweed Snacks社の”Seaweed Snack - Tempura Spicy Flavor”
画像引用元:Nora Seaweed Snacks公式サイト(https://www.norasnacks.com/)

 Nora Seaweed Snacks社は海苔にフレーバーを付けた製品も出しているが、小麦粉で作ったチップスに韓国海苔を付けたスナック製品”Seaweed Snack - Tempura Spicy Flavor”を出している。このスナックの成分は、小麦粉、米胚芽油、海草、修飾タピオカスターチ(加工でんぷん)、砂糖、塩、粉末白ペッパー、加水分解植物プロテイン、イーストエキス、粉末チリペッパー、粉末ガーリック、粉末オニオンである。

Maine Coast Sea Vegetable社の”Kelp Crunch”

Maine Coast Sea Vegetable社の”Kelp Crunch”
画像引用元:Maine Coast Sea Vegetable公式サイト(https://seaveg.com/)
Maine Coast Sea Vegetable社の”Kelp Crunch”
画像引用元:Maine Coast Sea Vegetable公式サイト(https://seaveg.com/)

 海草を使ったエネルギー・バー製品も出されている。Maine Coast Sea Vegetable社は”Kelp Crunch”のブランドで海草を使ったエネルギー・バー製品を出している。これはゴマと海草のフレーク状にしたものを玄米シロップとメープルシロップを混ぜて薄いバー状にしたもので、他の成分は入っていない。ビタミン、ミネラルが多く含まれている栄養的なバー製品である。

Seapoint Farms社の”Seaweed Crisps”

Seapoint Farms社の”Seaweed Crisps”
画像引用元:Seapoint Farms公式サイト(https://seapointfarms.com/)

 Seapoint Farms社はアメリカで初めて冷凍の枝豆製品を出した会社で、乾燥枝豆、枝豆パスタ製品、コーンやレンチル(レンズ豆)のスナック製品を出しているが、最近、海苔を使ったスナック製品を発売している。”Seaweed Crisps”は、海苔にゴマとナッツ、種子を細かくしたものを薄くして焼いて海苔と重ねてスナックにしたものである。”Almond Sesame”と”Pumpkin Sesame”の2種類を出している。海苔をオーシャン・スーパーフードと呼んでいる。

海藻を使ったスナック以外の製品

 スナック製品以外では、海草を使った製品がいくつか出はじめている。

Barnacle Foods社の”Kelp Chili Crisp”

Barnacle Foods社の”Kelp Chili Crisp”
画像引用元:Barnacle Foods公式サイト(https://www.barnaclefoods.com/)

 Barnacle Foods社は海草を使ったソース製品”Kelp Chili Crisp”を出している。アラスカの海草を使った製品で、成分は、植物油、フレーク状のチリ、砂糖、乾燥オニオン、アラスカの海草、発酵させた黒豆である。バーベキューした魚や肉、鶏肉、卵料理、貝料理等、色々な食品に少し辛いフレーバーを付けるのに使えるとしている。

AKUA社の”Kelp Burger”

AKUA社の”Kelp Burger”
画像引用元:AKUA公式サイト(https://akua.co/)

 変わったところでは、AKUA社が最近、世界で初めて海草を使ったバーガーのパテ”Kelp Burger”を発売している。これは、海草、オーガニックのオリーブ油、クリミニ・マッシュルーム、エンドウ豆プロテイン、黒豆、キノア(キヌア)、オーガニックのココナッツ・アミノス(ココナッツ・ネクター、ココナッツの花の蜜、天然の精製していない塩)、ポテトスターチ、栄養イースト、粉末トマト、ヒヨコマメ粉、エンドウ豆スターチ、スパイス、こんにゃく粉、アガーから作られている。食べた人の感想では非常に美味しいという感想が多い。この会社は2019年から海草ジャーキーを販売している。

この記事を書いた方

吉田隆夫

この記事を書いた方

JTCインターナショナル社長吉田隆夫

アメリカのフロリダ大学の分子進化研究所で2年間研究、さらにシラキュース大学で後にノーベル賞受賞された根岸英一先生の教室で2年間有機金属化学を研究し、IFF社の研究所で約11年間香料の研究。その後、カーリンフード社(後にブンゲ社)に5年勤務、独立して食品産業のコンサルタントを30年以上続けている。アメリカ食品産業研究会、e-食安全研究会、クリエイティブ食品開発技術者協会を設立し、その活動をしている。

http://www.e-syoku-anzen.com/

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