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清田ダイアリー KIYOTA DIARY

記憶に残る植物(4)

ウリ科植物(その1)

飯沼宗和
岐阜薬科大学名誉教授岐阜医療科学大学客員教授 飯沼宗和

2009年07月01日

記憶に残る植物(4)

 高温で日照時間が長く、乾燥した気象を好むウリ科の植物は夏の代表的な野菜です。キュウリ、スイカ、カボチャ、ユウガオ、トウガンなど全てウリ科に属する野菜です。メロン、ヘチマ、ヒョウタンも同じです。
 今回は、ウリ科植物の中でもよく食されるスイカとメロンについて話します。

瓜食(は)めば 子供思ほゆ 栗食めば
まして偲(しぬ)はゆ 何処より 来たりしものそ
目交(まなかい)に もとな懸りて 安眠(やすい)し 寝(な)さぬ
宇利波米婆 胡藤母意母保母由 久利波米婆
麻斯提斯農波由 伊豆久欲利 枳多利斯物能曽
麻奈迦比爾 母等奈可可利提 夜周伊斯奈佐農
『万葉集』巻五・802

反歌
銀(しろかね)も金(こかね)も玉も 何せむに 勝れる宝
子に及(し)かめやも
銀母金母玉母 奈爾世武爾 麻佐禮留多可良
古爾斯迦米夜母
『万葉集』巻五・803

 冒頭の山上憶良が詠むウリ(マクワウリ)は、岐阜県と縁が深く、美濃国本巣郡真桑村(現在、本巣市真生町)に味のよいウリが見付かり、「真桑」を冠したウリが日本各地に名前と共に広まったものです。明治時代にアメリカから新しい品種が入り、優良なスイカが出現するまでマクワウリの方が喜ばれていました。

ウリ科を代表するスイカ

スイカ

 ウリ科植物の多くは野菜ですが、西瓜(スイカ)は大正時代に品種改良が進み、今日に至り果物に位置付けられています。「能く小水を利する」が西瓜の薬効の一つで、急・慢性腎臓炎のむくみに西瓜糖(よく熟したスイカの赤い果肉から果汁をとり、土なべに入れ、とろ火で煮詰めて水飴状にしたもの)が使われていました。

 最近では、西瓜糖の言葉は死語になりつつあり、寂しい気がします。歯槽膿漏や慢性の咳による喉の痛み止めには、西瓜霜と呼ばれる粉末が利用されます。未熟な西瓜を芒硝(硫酸ナトリウム)と共にかめに漬け込みます。数日後、かめの外に吹き出る白い結晶(霜)を集めます。高度な製造方法です。

 最近、中国の合肥市を訪問する機会がありました。或る研究所では西瓜を用いて、美白化粧品を開発していました。研究開発中のエキスを手の甲に塗り、暫くして塗らなかった部分と色を比べますと歴然とした違いが現れました。即効性の美白効果です。少しマジックすぎる程の不思議なエキスでした。

メロンの話

マスクメロン

 高級な果物、メロンの話です。果皮に網目(ネット)がある一品種がマスクメロンです。ネットと仮面(mask)が連想され、maskmelonを想像しますが、大きな間違いです。果肉に香気があり、麝香(musk)にも通ずる良い匂いがしますのでmuskmelon、こちらの方が正解です。発音をカタカナで表すことは大変難しく、ムスクメロンと表記したら幾分誤解が避けられます。

 ジャコウは、雄のジャコウジカのジャコウ嚢の中にある腺分泌物で、芳香成分はムスコンです。良い匂いですが、メロンとは別の匂いです。興奮薬として諸器官の衰弱、失神に用いるほか、香料として多く使用されています。ワシントン条約第Ⅰ種に分類され、ジャコウジカの方は国際的な取引が規制されています。

 アンデスメロンも実はアンデス山脈とは何の因果関係もありません。アンシンデスメロン<安心ですメロン!>(作って安心、売って安心、買って安心)から派生した名前と聞いています。

生ハムメロン

 最近では、メロンと生ハムが西洋風の宴会で料理として出てきます。何の違和感もなく、絶妙なコンビネーションの味は合点しながらいただいています。

ウリ科植物の効能性

  一時期、ウリ科植物の生物活性に興味を持って研究したことがあります。瓜蔕(かてい)といわれる生薬があります。メロンや真桑瓜などの「へた」の部分を集め、乾燥したものです。中国では現在も流通して入手可能です。

瓜蔕(かてい)

 細かく切った瓜蔕をエタノールで抽出し、エキスを調製した後、動物由来の細胞を用いて検討しました。マウスの前駆脂肪細胞という細胞があり、通常は線維芽細胞様の形態を示しますが、インスリン刺激を与えると、細胞内に脂肪粒を蓄え脂肪細胞に誘導されます。

 インスリン刺激と同時に、ある植物エキスが共存した場合に脂肪粒の蓄積に変化が起こります。肥満防止には、細胞内の脂肪粒を蓄えない植物エキスが有効です。瓜蔕エキスには、脂肪細胞に分化誘導しない強力な活性があることが判り、肥満防止が期待できます。

 更に研究を進め、阻害物質はククルビタシン化合物(ウリの苦味に関係する物質)であることを突き止めました。瓜蔕に抗肥満活性が有ることを科学的に証明することに成功しました。しかし、安全性を確認する実験でこの活性化合物にはマウスに少なからず毒性があることもわかりました。安全第一です。今回の肥満防止の研究は残念ながら中止となりました。

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この記事を書いた方

飯沼宗和

この記事を書いた方

岐阜薬科大学名誉教授岐阜医療科学大学客員教授飯沼宗和

1947年松本市生まれ。薬学博士。1974年岐阜薬科大学大学院薬学研究科修士課程修了。1980年薬学博士取得(岐阜薬科大学)。1974年岐阜薬科大学助手、2002年教授となり、39年間にわたり専門の生薬学を中心に教育研究に携わる。1998年から4年間岐阜県に出向し、保健環境研究所所長を歴任。研究分野は民族伝承薬物の科学的根拠に基づく医薬品、健康食品、化粧品の研究開発。

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