清田ダイアリー KIYOTA DIARY
2020年食市場のトレンド予想 「HITキーワードBest10」
食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気
2020年02月01日
今年初めての寄稿は、2020年の食市場のトレンドについて、株式会社ひめこカンパニーの予想をご紹介します。

1位 「SDGs」
国連が掲げる ”SDGs(持続可能な開発目標)” の達成を目指す動きが世界で広がる中、日本でも政府による法整備が進められ、企業や自治体が取り組みに力を入れています。そのひとつが、フードロス対策。日本ケンタッキー・フライド・チキンが昨年、品質には問題ないものの市場で流通できない食品を福祉施設等へ無料で提供する活動 ”フードバンク” を始めました。大手ファストフードチェーンの活動に共鳴し、追随する企業が今後さらに増えるでしょう。また、海の汚染や燃やすことで地球温暖化に繋がることが懸念されているプラスチックの容器や包装の量を減らすため、今年7月1日からレジ袋の有料化が義務化されます。これを受け、包材をプラスチックから生分解性素材へ切り替える動きも一層加速することでしょう。

2位 「家ナカ消費」
消費増税による節約志向や軽減税率に加え、東京五輪が開催される今年は、自宅で観戦しながらデリバリーや買ってきた惣菜で食事を済ますなど、中食需要がさらに活発になります。すでに外食各社においては、来店客数は減っているものの、テイクアウトやデリバリーの数は伸長しています。今後は、中食向けメニューの開発が進み、サブスク型のデリバリーなど新サービスを取り入れる店も増えそうです。加えて、外食店には中食にはない魅力として、その店ならではのエンターテインメント性が求められるようになり、「エンタメ外食」がブームになるでしょう。ARやVRの技術を取り入れたテーマパークのようなレストランや、スクリーンに登場した料理が実際に提供されるフィルムフェスティバルなどが登場します。

3位 「プラントベースフード」
”大豆ミート” をはじめとする代替肉の市場が、インバウンドの増加、ビーガン・ベジタリアンの需要が後押しとなって、日本でも活性化します。伊藤ハムは、大豆タンパク質を原料にしたハンバーグパティを、今年から業務用商品として本格的に展開します。既にセブンイレブンがハンバーガーに試験採用していて、一部店舗に並んでいます。業務用が販売されれば、外食チェーンにとっては植物肉導入のハードルが下がることから、ビーガン・ベジタリアン向けメニュー開発の動きが加速しそうです。米国ではすでに、ダンキン、マクドナルド、バーガーキング、ケンタッキー・フライド・チキンなど、ファストフード業界で、 ”植物肉” の採用が急速に広がっています。また代替肉以外にも、牛乳の代わりとして豆乳やアーモンドミルクの人気が高まり、料理に活用されるなど食卓に浸透しそうです。

4位 「チルアウトニーズ」
「チルアウト」は、 ”まったりする、くつろぐ、落ち着く” といった意味の英語で、「チルる」「チルってる」などの使い方で、若者を中心に浸透しています。ストレスフルな社会状況が続く中、心の安らぎを求めて瞑想やマインドフルネスに興味を持つ生活者が増え、 ”ストレス緩和” ”癒し” ”ゆるさ” をテーマにした活動や、GABAやテアニンなどリラクゼーション成分配合の食品が生活者に人気になります。

7位 「eスポーツ消費」
2024年か28年の夏季五輪では正式な競技種目になるともいわれている「eスポーツ」。アメリカや中国では、早くもビッグビジネスになっています。eスポーツの大会はもちろん、eスポーツレストラン、eスポーツスタジアムなど、eスポーツを皆と一緒に楽しむ場所も登場していて、食とスポーツの新たな関係が生まれ始めています。日本においては、eスポーツのプレーヤー向けに集中力を高める、エネルギーを補給するなどの目的で利用する飲料が発売されていますし、ゲームをしながら食べる ”ゲーミングスナック” と謳う、手を汚さず、口に直接中身を流し込めるパッケージのスナック菓子も登場しています。

その他、香りを楽しむ「香楽食品」や、昨年に引き続き「台湾フード」もブームになると思われます。また、加齢により心身が老い衰えた状態「フレイル」を防ぐための対策に着手する自治体が増え、高齢者向けの食提供サービスが拡がりを見せるでしょう。
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清田産業では、メニュー、レシピ、調理方法、試作など、ご提案から開発までワンストップで対応します。豊富な経験と研究開発実績から、付加価値の高い製品開発を実現します。
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この記事を書いた方
この記事を書いた方
株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子
加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。
http://himeko.co.jp/