清田ダイアリー KIYOTA DIARY
世界の豆利用法
代表的な豆と栄養素
2023年07月14日
豆類の歴史は穀物と同様に古く、全世界で栽培されている。今回はそんな豆の種類と簡単な栄養素、調理方法を紹介する。
豆の種類と栄養素
現在食用として知られている種類はおよそ100種類あり、それらは次のような特性により評価されている。
- 栽培期間が短い
- 成分的に優れている
- 加工適正が高い
- 保存性もよい
この豆類を植物学的に分類すると、大豆類・小豆類・インゲン豆類・エンドウ類・ソラ豆類の5種類に大別できる。さらに成分で分けると大きく2つある。
- たんぱく質及び脂質を主成分とする大豆・ラッカセイ
- デンプンとたんぱく質を主成分とする小豆・インゲン・ソラ豆など
このほか成分的に野菜的な性質を持っている豆に枝豆・サヤ豆・サヤエンドウ・青豆などがある。
豆類はたんぱく質と脂肪に恵まれている。ビタミン類も比較的多く含有し、ビタミンB類が多い。CとAがこれに次ぐ。鉄分やカルシウムほかのミネラル分も豊富である。
輸入が増加傾向にある豆
豆の生産分布をみると、多くの豆類は日本で生産されるが、量的に減少しており、代わって輸入量が激増している。この代表が小豆とソラ豆である。
日本ではあまり産出されず、輸入が増えているものにレッド・キドニービーン(アメリカ)・緑豆(中国・ミャンマー)・レンズ豆(インド等)・グリーンピースハーフ(アメリカ)・ひよこ豆(ミャンマー)などがある。特に料理の国際化によって、原料となる豆の輸入はますます多様化している。
豆類の原産地とその利用法
ここでは、植物的な分類からデンプンとたんぱく質を主成分とする小豆・インゲン・ソラ豆、野菜的な性質を持っているエンドウ豆・緑豆を例に、原産地とともに世界の豆の利用法を紹介する。
小豆
日本人の好物の豆で、古来から食用にされていた。特に和菓子には欠かせない。種類が多く大きさにより大納言・中納言・少納言ほかとなるが、大納言が最高品。
主成分は糖質で、たんぱく質・ビタミンB1・B2も豊富。食物繊維も多く便秘には効果的。小豆は茹でると、およそ3倍になり、このデンプンを利用して餡子をつくる。
餡子は和菓子・アンパン・あんみつ・しる粉・たい焼きなどに利用する。茹で小豆はホットケーキ・アイスクリームなどに利用。北海道産は高品質であるが寒さに弱く、年によっては凶作のこともある。最近では中国産の伸びが高く、急増をみせている。
インゲン豆
種類が非常に多く、原産地は中央アメリカから南アメリカにかけて。世界には約1000種もあり、その半分は南アメリカに分布。日本には17世紀に明僧隠元禅師が中国より持参、インゲンの名前が誕生。
日本の主産地は北海道で、最もポピュラーな白インゲンのほか、赤・褐色・とら模様などと色もさまざま。大豆に次いで作付面積は広い。料理法は煮豆用として虎豆・鶉豆・金時豆がよく使用され、アメリカでは豆スープ・豆サラダ・バター炒めなどにされる。
エンドウ豆
原産地は西南アジアとみられ石器時代から栽培されていた。世界各地で栽培され、さまざまな料理に利用されている。
エンドウ豆には青・赤・白色の3種類があり、日本で栽培されているものは青色が多い。この若摘みの生の豆がグリーンピースで、北海道・東北が主産地で寒さに強いのが特徴。青色は炒り豆・煮豆・フライビーンズなどに。赤褐色のものはみつ豆や炒り豆・煮豆・フライビーンズなどに。白色は炒り豆・製餡・豆スナック等に利用される。
エンドウの成分はたんぱく質20%内外、デンブン質60〜70%で脂肪は少ない。カルシウム・鉄・亜鉛・銅などのミネラル分が多く、ビタミンではB1・B2が多くみられる。
ソラ豆
原産は南部ヨーロッパから北部アラビアにかけて。古代ギリシャ時代にはすでに栽培されていた歴史を持つ。現在では世界各地で栽培、アジアが70%を占有。豆のさやが空に向かっているのでソラ豆、養蚕の時に実るので蚕豆とも書く。
栽培は温暖な地方が多く連作は出来ない。中国が最大の産地で、四川省では何十キロメートルとソラ豆畑が続く。見事である。ソラ豆の利用法は、完熟豆は炒め物に使用、乾燥させてフライビーンズなどにする。中国の豆板醤はソラ豆が主原料。
日本では甘く煮たものはおたふく、皮をむいて煮たものは富貴豆とし、塩茹でも好まれている。日本では生産量が少なく高級品に。中国産・カナダ産が多く流通。
緑豆
原産地はインドでムング豆とよばれている。現在では中国・ミャンマー・東南アジアほかで広く栽培、日本産のものはほとんどみられない。
豆粒の大きさが均一であるため秤の分銅として使われたこともある。中国では清熱(高熱を取る)・解毒・瀉利(下痢止め)ほかの漢方薬剤としても使われている。
緑豆からデンプンを取り、これから作る豆麺(中国春雨)も有名で、日本の春雨よりコシが強く美味。このほか芽菜(ヤツァイ=もやし)もつくるが、大豆もやしより柔らかく歯ごたえが良い。日本に輸入される緑豆はもやし用に。
インドではベジタリアンが多く、スープや蒸し煮用。貴重な栄養源とされている。
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この記事を書いた方
この記事を書いた方
食品評論家太木光一
1947年早稲田大学商学部卒業。同年昭和産業に入社し、一貫して調査業務に携わる。調査部長を経て1979年に退社するが、在社当時から食品と食品産業について新聞・雑誌に健筆をふるい、食品産業評論家として活躍する。通産省中小企業振興事業団の需要動向委員のほか多くの政府委員を歴任するとともに食品メーカー、問屋、高級食料・食品店の顧問にも就いていた。海外視察は280回以上に上る。主な著書は「日本の食品工業」(共著)、「新・一般食品入門」、「惣菜食品の強化技術」、「食材の基礎知識」など多数。