清田産業株式会社

清田ダイアリー KIYOTA DIARY

清田産業株式会社の食品安全への取組みとその歩み(1)

清田産業株式会社
笑顔のモト「おいしい!」をプロデュースする 清田産業株式会社

2024年06月21日

清田産業株式会社の食品安全への取組みとその歩み(1)

清田産業株式会社 品質保証室メンバーにより『Journal of Environmental Control Technique 環境管理技術』vol.42 no.1に「清田産業株式会社の食品安全への取組みとその歩み」と題する衛生管理に関する寄稿をしました。清田ダイアリーでは、その記事を2回に分けてご紹介します。

第1回では、清田産業の会社概要や品質保証室の業務内容、食品事業者におけるHACCPの導入状況などを説明します。

1.企業概要

 清田産業株式会社(以下、弊社と略す)は、「食品業界をリードする100年企業を目指して」、一人ひとりが持つ個性や魅力を原点とし、世の中にいかに笑顔を増やしていくかを働く仲間やお取引先様と一緒に考えています。弊社は、食べた人すべてに笑顔があふれる「おいしい」をプロデュースすべく、お取引先様独自のおいしさを創造する過程にご協力しています。

 弊社は1932(昭和7)年に初代社長清田一男が愛知県名古屋市にて、工業薬品・冷菓材料の販売会社として合資会社清田商店を設立しました。1940(昭和15)年頃には店舗を構え、アイスキャンディと大学イモの販売を開始しています。1945(昭和20)年には製菓材料の販売を開始し、砂糖の入手が困難で甘いものが貴重となった終戦後、サッカリンやズルチンの販売で事業を拡大しました。1947(昭和22)年には、上野製薬株式会社(甘味料、防腐剤)、三栄化学工業株式会社(香料・食品色素)と代理店契約を締結し、食品添加物販売を本格化しました。1949(昭和24)年に、清田産業株式会社(現商号)に社名を変更。そして、1984(昭和59)年には、食品の試作品を製作する研究開発部門を設置しました。弊社のような商社が開発室を持つことは珍しく、当時、業界では大きな注目を集めました。また、時代の変化とともに、海外の食品原材料を使用したいというお取引先様からの要望もあり、国内外から幅広く食品原材料を調達し始めます。1998(平成10)年から食品原材料の輸入部門を開設し、海外でリサーチした新しい食品原材料を調達したオリジナル商材の開発に力を入れています。そして、2022(令和4)年には、おかげさまで創業90周年を迎えました。

 一方、弊社は「食の総合プロデューサー」になるべく、1981(昭和56)年から、飲食店事業部(現 株式会社中部デリカ)を設立し、うどん・そば処「どんきゅう」をスタートしました。現在18店舗を展開しています。1989(平成元)年には関食品事業部(洋菓子製造販売)を開設、業務拡大に伴い、2004(平成16)年から、株式会社フレシュールとして分社化しています。株式会社フレシュールは、独立採算による経営の効率化で開発・製造力を増進し、受託生産に加え、積極的な自社製品の開発を行いながら、鮮度・品質の高い製品を製造しています。このように、事業部門の多角化を行い、グループ企業がサポートしながら「みなさまに食のおいしさ、楽しさを直接お届けする」重要な役割を担う食品開発提案企業として事業展開しています。

2.品質保証室の業務内容

 私は2017年に入社して以来、品質保証業務に携わっています。業務内容は、グループ会社の衛生管理サポートから、仕入れ先工場を訪問し品質保証するための監査業務など多彩な分野を担当しています。
ご存じのように、2018年に食品衛生が改正され、2021年6月から「HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)に沿った衛生管理」が制度化されました。弊社のお取引先の食品企業でも、HACCP制度化の取組みは行われています。しかし、食品企業のHACCP対応は、「ヒト・モノ・カネ」の経営資源の面からみて多様な状況です。食品の安全性を確保するためには、HACCPだけでなく施設設備、機械器具等の衛生管理、食品取扱者の健康や衛生を管理する一般衛生管理プログラム(Prerequisite Programs、以下PRPと略す)などが不可欠です。PRPは、食品の安全性を確保する上で食品製造環境では必ず実施しなければならない基本的で重要な事項です。厚生労働省は、「多くの食中毒の原因は一般衛生管理の不備である」1)と検討会の報告書に書いています。私が見ている食品製造現場の中では、HACCPシステムを効果的に機能させるためのPRPの構築や運用が上手くされていないと思われる所も見られます。例えば、食品工場のハード的な部分である施設設備や構造、ソフト的な部分である組織体制、教育訓練などです。

 食品事業者の中には、HACCP導入や運用だけでなく、ISO22000やFSCC22000などの第三者認証を取得し食品の衛生管理を進めている企業もありますが、多くの中小の食品事業者では十分に対応できる人材のマンパワーが決定的に不足しています。令和4年6月28日に農林水産省から発表された「令和3年度食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況実態調査結果」の令和3年10月1日時点での食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況2)を表1に示しておきます。まだまだこれからという企業が30%以上もあるのが現状です。

令和3年10月1日時点での食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況

 更なる検討を行うと、販売金額が多い事業者ほどHACCPの対応が進んでいるようで、販売金額規模に比例した結果となっています。また、HACCPに沿った衛生管理を「すべて又は一部の工場・工程(ライン)で導入している」及び「導入途中の工場がある」と回答した事業所について、「いずれかの第三者認証等を取得している」と回答した事業所は28.5%です。これらの食品安全に関する認証取得について表2に示しておきます。

食品安全に関する認証取得

 多くの食品事業者は、HACCP制度化以降にHACCP導入を積極的に取組んでいることがわかります。現状の食品企業から感じる点は、HACCPやPRP構築した後、製造現場において衛生管理の見直しやその後の改善が出来ていません。それは、HACCPチームによる衛生管理の見直しを、PDCAサイクルを用いて運用出来る食品企業がごく一部であるということです。HACCPに沿った衛生管理の導入が出来た食品企業であっても、第三者認証を取得している食品企業であってもほぼ同じような状況であると思います。製造現場の改善するためのPDCAサイクルの運用が出来ていない状態では、時として、HACCPシステム及び食品マネジメントシステムの効果的な活動は出来ず、システムのみが形骸化している場合も見られます。

 第2回では食品事業者のHACCPの運用状況や一般衛生管理の不備などに関する事例を、具体的な改善方法とともに紹介します。さらに食品衛生の重要性を踏まえた清田産業としての今後の方向性を示します。

参考資料
1)厚生労働省:食品衛生管理の国際標準化に関する検討会 最終とりまとめ
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11135000-Shokuhinanzenbu-Kanshianzenka/0000147434.pdf

2)農林水産省:「令和3年度食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況実態調査結果」令和4年6月28日

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この記事を書いた方

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清田産業は、「食」の総合プロデューサーとして、「食」の可能性を広げ、人々の生活を豊かにする提案を続けていきます。
ひとり一人が持つ個性や魅力を原点に、世の中にいかに笑顔を増やしていくかを働く仲間やお取引先と一緒に考え、「おいしい」をプロデュースしてまいります。

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