清田ダイアリー KIYOTA DIARY
【海外研修レポート①】ISM 2024(国際菓子専門見本市)
2024年07月22日
清田産業では、2024年1月28日〜2月5日にドイツ・ケルンで開催されたISM 2024(国際菓子専門見本市)に参加する為、海外研修を実施しました。
弊社では、定期的に海外研修を実施しています。お菓子業界の海外トレンドを学び、見聞を深めることはもちろん、海外研修を通して日本から参加する企業や海外企業との繋がりを深めることも大切にしています。今回は築地、加藤、大谷の3名が参加しました。海外研修レポートとして、ISMの模様と、ドイツ、ベルギー、フランス現地での視察について2記事にわたって紹介していきます。
清田産業の海外研修について
海外研修は日本の食品メーカー数十社が集結して参加する、ツアー形態の研修です。清田産業では長年にわたって参加しており、海外市場の情報収集だけでなく、一緒に参加する食品会社の方との交流や、それを通じた新規顧客・新規ビジネスの創出も目的の1つとなっています。
研修スケジュール
- 1月29日:移動
- 1月30日:ISM(国際菓子専門見本市)
- 1月31日:ISM(国際菓子専門見本市)、ケルン市内業界視察
- 2月1日:ベルギーへ移動し、ベルギー・ブラッセル市内業界視察
- 2月2日〜4日:フランスへ移動、フランス・パリ市内業界視察
- 2月5日:帰国
大まかに前半はISMへの訪問、後半は各国の現地視察という内容です。研修は総勢40名くらいの方々と行動を共にしました。お菓子に詳しい方が通訳も兼ねて同行してくれたので、必要なところを効率良く回ることができ、かなり濃厚な研修となりました。以下で、コロナ禍により3年ぶりに参加したISMについてレポートします。
ISM 2024(国際菓子専門見本市)とは

ISMは、世界のお菓子業界の有名企業のほとんどが出展する、世界最大規模の流通菓子の見本市です。
2024年はドイツ、ベルギー、イタリア、スペイン、イギリス、フランスなど73ヵ国から1,425社が出展し、日本からはAJF様、日本タコム様、ANBER Inc.様、栄光堂様、エイワ様、春日井製菓様、セイカ食品様の8社が出展しました。
ISMは100以上の新商品が出品されている、アイデアとトレンドの宝庫。世界各国からバイヤーが集って、至るところで取引を行っており活発な国際交流の場にもなっていました。
ISM 2024が紹介するの注目商品
ISMでは、新商品とイノベーションを発見できるゾーンとして、「ISM New Product Showcase(以下、ISM新製品ショーケース)」が毎年注目を集めています。出品された世界各国のメーカーの約100以上の商品の中から、産業、貿易、科学分野の専門家によって構成された審査員チームによって、トップ3が選定されています。
ここでは、2024年のトップ3を紹介します。
第3位:3Dプリントが新しい!【PEZ myHead】

3位を獲得したのが、オーストリアのPEZ International社の『PEZ myHead』です。
PEZといえば、日本でもおなじみのパッケージがユニークなお菓子。ディスペンサーのヘッド部分に「キティちゃん」などのキャラクターがついているものをご覧になったことがある方は多いでしょう。 今回のISM新製品ショーケースにおいては、3Dプリントを使用し、写真を取り込むことで実際の人物に似た3Dヘッドを作るという斬新な発想と先端技術の組み合わせが評価されました。
第2位:アップサイクルがポイント【UPPA Cacaofruit Bites】

2位を獲得したのが、ベルギーのGudrun Commercial NV社のUPPA Cacaofruit Bites。
これまで廃棄されていたカカオの果肉を活用した「アップサイクル商品」で、以前と比べて使用する材料を約 30% 節約できるとのことです。環境に優しく、かつ、カカオ農家に新たな収入源を提供できる取り組みとして、業界のトレンドでもある「持続可能」な商品開発へのアプローチが評価されました。
個人的には日本のたこ焼きを彷彿とさせる器(舟皿)が面白かったです。日本では見慣れたものですが、よくよく考えてみれば、舟皿は木で作られているので、脱プラスティックなどSDGsの観点からも地球環境への優しさをアピールしているなと感じました。
第1位:カカオ代替チョコレートを使用【ChoViva】

ISM新製品ショーケースにおいて最優秀賞を受賞したのが、ドイツのPlanet A Foods GmbH社の「ChoViva」です。
カカオ代替チョコで、ヒマワリの種とオーツ麦を焙煎・発酵させカカオに近い風味を再現した商品です。地球に優しいというコンセプトに基づき、新しいチョコレート体験を提供している点が評価のポイントとなりました。
ISM 2024が発表する近年のトレンド

ISMは近年のトレンドとして、消費者の食に対する楽しみと健康に対する意識が高まり続けている傾向にあると発表しています。
ドイツ菓子協会(BDSI)によると、ドイツの消費者の39%は、お菓子を購入する際に持続可能性のテーマが重要であると述べています。ISM2024で発表された多くの商品は、メーカーがこの消費者のニーズに応じて市場でのラインナップを開発していることを示していると感じました。
ヨーロッパならではの着眼点!カカオのアップサイクル

特に印象的だったのが、カカオのアップサイクル商品が多かったことです。みなさんはチョコレートに使われているカカオがどのようにできているか知っていますか?実はチョコレートを作る際に使われているのはカカオの種子の部分で、果肉の部分は廃棄されているのです。これを活用したのがカカオのアップサイクル商品で、カカオバブルゼリーなど各メーカーが商品化しています。チョコレートの消費量が多いヨーロッパならではのアイデアだと思いました。
ISMで試食させていただいたカカオバブルゼリーは、ほのかに酸味があるベリーっぽい味で、寒天ゼリーのような食感でした。素材をそのまま使った感じがあったので、もう少し工夫すると日本でも美味しく食べられるかなというのが率直な感想です。以前に大手メーカーがカカオバブルゼリーを取り扱っていたことがあったのですが、その時は少し時代を先取りしていた感じがしたので今ならもう少し日本にも浸透しやすいのではないかと思います。

他にも様々なカカオのアップサイクルの商品があり、「これもカカオのアップサイクルなの!?」というような商品がたくさん並んでいました。私たちが知っているカカオからは想像できない商品を実際に見ることができ、カカオの可能性を身をもって学ぶことができました。
またチョコレート商品は、中にコーヒーなどが入っているものや、食べる直前に針を刺し洋酒やはちみつを入れて食べるユニークな商品もありました。ヨーロッパでは主流なようで、ISMの後に訪れたドイツのお店でも同様の商品を発見しました。
環境・動物保護に優しい、ヴィーガン商品

あわせて注目したいのがヴィーガン商品です。消費者の自然環境や健康、動物保護に対する意識の高まりを背景に、ヴィーガン食品市場はここ数年大きく伸びています。代替商品も多く開発され、ヴィーガンキャラメルフレークやオーツ麦ベースのヴィーガンチョコレートなどが商品化されています。
また、低糖、シュガーフリーもトレンドとして挙げられています。例えば、Simply Keto社は、エリスリトールとステビアを使用し、血糖値に影響を与えない甘味料を含むチョコレートを開発。
Powermints GmbH社は、スクラロースとキシリトールを使用して製品を甘くし、ヴィーガンにも配慮した無糖なミント商品を作っています。(白砂糖を作る工程で骨炭と呼ばれる牛や豚などの動物の骨を焼いたものが使用されるため、ヴィーガンの人々は白砂糖を避ける傾向にあります。)
このほか、植物を活用したお菓子が注目されていました。特にスナック菓子はエンドウ豆のたんぱくを使ったものが多かった印象がありました。日本では大豆やポテトが主流なので、そういったところでも違いを感じました。
ISMに参加して

ISMの会場はとても広く、1日半かけて回っても時間が足りないくらいの大規模な展示会でした。日本では言葉自体は耳にするものの一般市場にはそこまで広がっていないアップサイクルやヴィーガン、オーガニックなど地球環境に配慮した商品が多かったのが印象的でした。
展示会は陽気な人が多い印象で、見て回った各ブースの方から声をかけられるので、各国の方と交流ができて楽しかったです。とくにイタリアのブースでは「日本のことを教えてほしい」と声をかけられ、様々な情報交換をしました。
また、ISMで知り合った方とは日本に来られた際に、名古屋で開催される「ベルギービールウィークエンド」に一緒に行くことになり商談に繫がりそうな交流もできるなど収穫が多く、参加できてよかったと感じています。

ISMを訪問して驚いたのは、それぞれのお菓子の区分けが日本とは異なっていたことです。例えばスナック菓子の区分けには、ナッツもドライフルーツも含まれます。これは日本にいるだけでは分からない新しい発見になりました。
海外の商品には、包装が開けにくいものや綺麗に包装されてないものも多く、お菓子だけでなくパッケージにもこだわる日本ならではの良さを再認識しました。
2日間のISMを通じて世界の菓子トレンドについて学ぶことができました。この後、これらのトレンドが市場にどのように反映されているのか、各国の菓子店を回りました。こちらのレポートは別記事にまとめますので、そちらもぜひご覧ください。

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笑顔のモト「おいしい!」をプロデュースする清田産業株式会社
清田産業は、「食」の総合プロデューサーとして、「食」の可能性を広げ、人々の生活を豊かにする提案を続けていきます。
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