清田産業株式会社

清田ダイアリー KIYOTA DIARY

不況時の戦略キーワード “経費をかけずに変化を生み出す” 【その2 用途開発】

食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気

山下智子
株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授 山下智子

2017年02月01日

不況時の戦略キーワード “経費をかけずに変化を生み出す” 【その2 用途開発】

カタチを変えて新たな用途を提案

 現在の食市場には、定番をアレンジした商品がかなり多くなっています。最近の傾向は、味はそのまま、カタチを変えることで新たな用途を提案。今まで使われなかった場面、料理でも使っていただけるように工夫した、用途開発商品です。

 チョコレートをスライスチーズのようにシートにしたのがブルボンの「スライス生チョコレート」。発売前から“早く使ってみたい!”と話題になりました。そのままパンケーキにのせたり、ロールサンドにしたり、型抜きしてデコレーションに使ったりと自由自在。食パンにバナナの輪切りと一緒にのせてトースターで温めればチョコバナナトーストができ、今までチョコレートが登場しなかった朝食市場にも利用される商品になっています。

チョコレートのアレンジ菓子

 同様にシート化したのが、一正蒲鉾の「うすくて大きなさつまあげ」です。巻いたり、重ねたり、細く切って野菜と炒めたりできるようになり、料理の幅が広がっています。

さつま揚げのアレンジ

 もうひとつ、さらに伸ばして大きく広げたのが、叶屋食品の「A4サイズのひもかわうどん」です。好みの幅にカットする、型で抜く、具材を包むといった多彩な使い方が可能。フェイスブックには、うどんの太巻や、妖怪を再現した“一反もめん”といった、これまでにないユニークなうどんメニューが投稿されています。

ユニークなうどん

 さらに形のバリエーションが広がっているのが餅です。手軽に料理に加えられるキューブ型や、ジャムやチョコレートをディップしながら食べたりもできるスティック型、カップ麺に入れたり、ピザトーストの具にもなる、3分で柔らかくなるシート状などが登場。これまでは、正月など食べる機会が限られがちだった餅が、日常、食べられる食品になりつつあります。

 その他、ソフトクリームの形をした鍋用はんぺん、サラダにハムのようにトッピングできる花の形をしたはんぺん、0.01~0.03㎜の極薄に削ることで立体的にふんわりと盛ることができ、料理を華やかに仕上げる削り節や、3Dプリンターを活用して精巧なバラの花の形に仕上げたハムなど。

 “インスタ映え”が食品にも求められるようになり、料理の華やかさや楽しさを演出するカタチに変身した商品が増えました。

はんぺんとおでん

生活者の好奇心を刺激する○○専用商品

 用途開発をテーマにした商品開発のもうひとつのカタチが、○○専用商品です。
 昨年大ヒットしたおにぎらず専用海苔、ニコニコのりの「おにぎらずのための塩のり」もそのひとつです。おにぎらずを通常の海苔で作ると“パリパリし過ぎて破けてしまう”“ぼやけた味になる”といった生活者の不満を、作りがしっかりした破れにくい海苔を使用し、塩とだしで味付けすることで解決。生活者の支持を集め、売り上げを伸ばしました。

海苔のアレンジ

 このように、○○専用商品には、よく使われる用途に特化して味や使い勝手に磨きをかけた商品が多いのが特徴です。
 サンドイッチ用ハムと謳うのは、日本ハムの「サンドイッチ倶楽部」。味が異なる2種類のハムを1パックに包装した商品で、さまざまな具材をたっぷりはさんだサンドイッチが流行っていることを受け、数種のハムを買い揃えなくても手軽におしゃれなサンドイッチを作れるようにしました。
 おにぎりの具材の定番、ツナにもおにぎり専用が登場し、人気商品になっています。“缶詰だと余ってしまう”とか“もっと簡単に作りたい”という声に応え、あらかじめマヨネーズなどで調味したうえ、おにぎりの具にちょうどよい10gずつの小分けパックにしました。

ツナおにぎりのアレンジ

 他にも、パンにもみそを使ってもらおうと売り出されたトースト用みそペーストは、白みそと江戸みそをブレンドし、糖蜜や香ばしいナッツを加えてパンに合う味わいに仕上げています。卵かけご飯専用しょうゆが一時ブームになりましたが、最近では、スイーツにも使ってもらおうと、プリン用やかき氷用のしょうゆまで登場しています。

食品のアレンジ

 思わず試してみたくなるこうした商品が誕生する背景には、生活者の食に対する好奇心が高まっているというプラスの理由があります。
 ○○専用商品は一見ニッチな商品にみえますが、生活者のニーズが細分化している今、細かなニーズに応えていくことや、小さくとも新しいニーズを開拓していくことは、明らかに、戦略のひとつになっています。

付加価値の高い
食品・製品を開発します

清田産業では、メニュー、レシピ、調理方法、試作など、ご提案から開発までワンストップで対応します。豊富な経験と研究開発実績から、付加価値の高い製品開発を実現します。

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この記事を書いた方

山下智子

この記事を書いた方

株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子

加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。

http://himeko.co.jp/

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