清田ダイアリー KIYOTA DIARY
拡がる時短市場
食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気
2017年08月01日
忙しい現代人にとって、時短は大きな価値。今、時間を節約したい生活者のニーズが、大きな時短市場を生んでいます。
1分料理動画
働く主婦に人気なのが、「1分料理動画」。わずか1分で流れるように料理が完成する「料理動画サービス」です。初心者でも“作れるかも”と思わせる簡単な手順を俯瞰で写した動画は、レシピの検索すら面倒な若い女性たちの心を掴み、「クックパッド」を脅かす存在に急浮上しています。実際に作ってもらうことにポイントを置いていて、鶏肉や豆腐など安く買える食材を使う、料理の手順はとにかく簡単、揚げ油や大きな鍋を使わない、洗い物が少ない、失敗しにくいという視点を重視しています。「テイスティ・ジャパン」「デリッシュキッチン」「クラシル」「もぐー」といった配信会社4強のSNSのフォロワーは、合計1000万人目前です。

料理キット
食事の支度を簡単に短時間で済ませたい生活者に人気なのが、「料理キット」です。「らでぃっしゅぼーや」や「オイシックス」といった野菜宅配大手が、短時間で料理ができるカット野菜や調味料をセットにした料理キットの品揃えを拡充しています。有機や低農薬で育てた野菜を使うことで付加価値を高めるとともに、手軽に本格的な料理が作れる利点を訴え、家族に手作りの料理を食べさせたいと思う健康意識の高い働く女性らの需要を取り込んでいます。米国では「ミールキット」と呼ばれ、宅配してくれるサービスがブームです。買い物や献立を考える手間が省けるうえ、新鮮な食材を使って料理するので外食やケータリングより健康的という理由で、忙しい共働き世帯を中心に人気を集めています。代表的なサービス会社「ブルーエプロン」の場合、月に800万食を宅配。1食分9.99ドルという料金と、センスを感じさせるメニューで人気を集めています。米国では、向こう5年間で市場規模が10倍に膨らむと予想されていて、新規参入も相次いでいます。

冷凍食品
作る時間がない、作りたくない生活者に人気なのが、「冷凍食品」です。近年、各社の企業努力で冷凍食品の味が飛躍的に向上していることもあり、家庭用市場は大きく変化しています。以前はお弁当用の購入が多かった冷凍食品ですが、最近は、夕食のメイン料理として使う生活者が増えています。時短、おいしさ、個食、保存可能と、今どきのライフスタイルを充実させる要素を備えていることが人気の理由で、働く女性にとって家族の夕食における冷凍食品の利便性はどんどん大きくなっています。冷凍食品人気の高まりは、「クックパッド」への投稿数の増加からも分かります。最近は、冷凍チャーハンにレタスを加えるなど、冷凍食品にひと手間かけるレシピの投稿が多くなっています。保存が利き、調理の手間がなければ、後片付けもラク。しかも手頃な価格で格段においしくなっているとなれば、生活者が冷凍食品を求めることは、今の時代の必然と言えます。

時短家電
共働きの夫婦や忙しい生活者に売れているのが、「時短家電」です。中でも、時短と同時に、こだわりとおいしさを提供してくれる家電が人気です。例えば、「ハイブリッドオーブントースター」。スイッチを入れるとわずか0.2秒で熱を発するという超時短のトースターで、トーストがたった2分でこんがりと焼け、しかも水分蒸発が少ないので、外はカリッと中はふんわりとおいしく焼き上がります。材料を入れれば勝手に調理をしてくれる調理家電が「ドラムクック」です。食材と調味料を入れてタイマーをセットすれば、回転しながら自動で調理してくれます。煮る、焼く、炒めるが可能で、例えば、焼きそばの材料と調味料を入れて機械にセットするだけで、自動で回って炒めてくれるので、その間に別のことができ、時間の有効利用に役立ちます。

完結食
作る時間はもちろん、食べる時間すらもったいないという生活者に最適なのが、それだけを食べていれば、他は何も食べなくても生きていける「完結食」です。日本のベンチャー企業「コンプ」が開発したのは、普通の食事を一切摂らなくても、それだけで健康的に生きていけるという完全栄養飲料「COMP」です。ビタミン、ミネラル、脂質、炭水化物、タンパク質、食物繊維など、日本人の食生活に必要なすべての栄養素をバランスよく配合したパウダー状の製品で、水などの液体で溶かして飲みます。この商品のお手本になったのは、米国で爆発的に売れている、シリコンバレー発の高栄養ドリンク「ソイレント2.0」です。水で溶かす必要のないボトル入りの液体バージョンが発売されたことで、昨年は、前年比で50倍の売れ行きでした。その他、厚生労働省が定める1食分の栄養素31種をバランスよく摂れるうえ、通常品に比べて糖質もカロリーも半分という、世界初のパスタタイプの‟完全食”「ベースパスタ」も発売されています。

付加価値の高い
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清田産業では、メニュー、レシピ、調理方法、試作など、ご提案から開発までワンストップで対応します。豊富な経験と研究開発実績から、付加価値の高い製品開発を実現します。
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この記事を書いた方
この記事を書いた方
株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子
加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。
http://himeko.co.jp/