清田ダイアリー KIYOTA DIARY
ファストフードもファミリーレストランも、牛丼店もラーメン店も。外食市場には、今どきの “ヘルシー感” がいっぱい
食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気
2016年10月01日
麺の無いちゃんぽんに、パンの無いサンドイッチ・・・これらは、生活者の健康志向に応えて誕生したメニューです。皆さんお馴染みの外食チェーンが、今、驚くほどヘルシーに進化しているのをご存じですか。
外食企業各社の取り組みを見ると、いくつかのヘルシーポイントを抑えたメニューを提案していることが分かります。
ヘルシーポイント①低糖質
ここ数年、生活者の関心が高い “低糖質” を謳ったメニューを提案しているのは、ハンバーガーチェーンの「フレッシュネスバーガー」です。近年増えつつあるシニア層の来店に対応し、糖質50%オフの低糖質バンズを開発しました。50円の追加料金で、既存商品のバンズを低糖質タイプに変更できます。ファミリーレストランの「ジョナサン」や「ガスト」は、低糖質メニューを売り出すと同時に、追加料金50円を払えば、麺料理の麺を “糖質ゼロ麺” に変更できるサービスを始めました。このサービスを先行して始めたガストの一部店舗では、糖質ゼロ麺への変更は、想定の2~3%を大きく上回る10%ほどに上るといいます。

ヘルシーポイント②野菜たっぷり
“野菜” がしっかり摂れるメニューも増えています。
最強の野菜として注目を集めているクレソンの鍋を売り出したのは、しゃぶしゃぶチェーンの「温野菜」です。流行りのパクチーや夏野菜を好きなだけいただける「夏鍋」を展開。野菜をたっぷり食べたい女性たちの心を掴みました。また「ケンタッキーフライドチキン」は、新業態店で、野菜をたっぷり使った新商品 “ベジケンタ” シリーズの販売を始めました。チキンと野菜を一緒に楽しめるプレートメニューと、季節の野菜をふんだんに使用したサラダメニュー、それぞれ2品を提供しています。一方、牛丼チェーンの「吉野家」は、かつての常連客の高齢化を考慮して1日分の野菜の半量が摂れる “ベジ丼” を投入。「松屋」は、野菜たっぷりの “スープごはん” で女性の取り込みを図っています。

ヘルシーポイント③スーパーフードと美容成分
最近のもうひとつの傾向に、 “スーパーフード” や “美容によい成分” をプラスしたメニューがあります。
ファストフードピザ店「ナポリス」は、カロリー50%オフで食物繊維が豊富なピザを提供しています。生地の原料に小麦ブランや、オメガ3脂肪酸を豊富に含むチアシードを配合。カロリーは通常の約半分、糖質もご飯1杯より少ない量に抑えてあり、1日に必要な食物繊維を摂ることができます。また讃岐うどんチェーン「はなまるうどん」は、女性客をターゲットに、美容をテーマにした商品を展開しています。第1弾は、美肌効果などがあるとされるアスタキサンチンを含んだ “ベジスープうどん” 。うどんを、カロリーの少ない春雨に変えることもできます。第2弾は、 “食べる美容8品目入りサラダ麺” 。アスタキサンチンを加えたほか、麺は新開発の糖質ゼロ麺を使い、糖尿病などの持病を持つ中高年男性にもアピールしています。

ヘルシーポイント④低カロリー
生活者からの要望が根強い “低カロリー” のメニューに取り組むチェーンも増えました。
天丼チェーンの「てんや」は全店で、天ぷらに使う揚げ油を、日清オイリオと共同開発した、摂取カロリーを抑えられる独自の揚げ油に切り替えました。同じくモスバーガーも、ハンバーガーに使うマヨネーズをカロリー1/2の商品に変更しています。またファミリーレストランの「デニーズ」は、肉や魚、野菜、豆類などさまざまな素材を組み合わせて栄養のバランスに配慮した “美健丼” の提供を始めています。ご飯は、五豆と五穀物を白米と混ぜ合わせて提供。カロリーはいずれも、300~500kcal台です。

ヘルシーポイント⑤デンプン抜き
低カロリーといえば、冒頭に紹介したような “デンプン抜き” メニューも人気です。
ラーメン店「一風堂」は今年3月から1ヵ月限定で、ラーメンスープに麺の代わりに豆腐を入れた“白丸とんこつ百年豆腐”を3店舗で販売。1日20食が昼で売り切れる店舗もあったため提供店舗を増やし、新店では定番メニューにしています。ちゃんぽん店「リンガーハット」は昨年4月から、野菜たっぷりちゃんぽんから麺を抜いた “野菜たっぷり食べるスープ” を展開。立ち食いそばの「名代 富士そば」は昨年7月から一部店舗で、つまみメニューとして、そばつゆと天ぷらだけの “天ぬき” を売り出しました。サンドイッチチェーンの「サブウェイ」は、サンドイッチの具材だけをサラダとして提供する “パン抜き” オーダーを受けています。

ヘルシーメニューを揃えることは、チェーン店においても当たり前になっています。今はそれを、いかに早く、しかも “今どき” のヘルシー感で反映させるかが重要になっています。
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この記事を書いた方
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株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子
加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。
http://himeko.co.jp/