清田産業株式会社

清田ダイアリー KIYOTA DIARY

世界の珍果

世界に溢れる、珍しい果物の数々

太木光一
食品評論家 太木光一

2018年08月01日

世界の珍果

 世界にはその地域特有の農作物がある。その中でも果実は日本では考えられないような不思議なものが多く存在する。今回は世界の珍果を紹介する。

ユーショア

 ベトナム特産、英名でミルクフルーツ、女の乳の実となる。直径9センチほどでリンゴと同じ。ホーチミン近郊が主産地。皮をむかず四周をよくもむ。上部2センチくらいの所にナイフを入れ横断する。中から白乳がわき出し掬って飲む。甘く誠に美味。皮にそって果汁と果肉を飲み食べる。生産時期は9〜10月。量的にとれないのでローカルの特産物に。価格も日本円で20〜30円ほど。

サポジラ

サポジラ

 日本ではチクル、チューインガムの木とよぶ。20メートルを超える巨木となるが原産は南米コロンビア。現在は熱帯全域となる。樹皮を傷つけて出てくるゴム質を集め煮つめたものがチクルでチューインカムの原料となる。

 この果実がサポジラで、茶褐色で馬鈴薯に似ており大きさは6センチほど。断面は柿にも似る。酸味はなく果物の中で最も甘く、手で二つに割りスプーンですくって食べる。生食についでシャーベットにされ、水ようかんのようにしてつくるサポジラ羊羹も美味。

バンレイシ

 日本字で番茘枝と書き、中国では釈迦頭と書く。ペルーから熱帯アメリカが原産。果実の大きさは直径7〜8センチの球形。果肉は白くねっとりとしてクリームのように美しく、小指の先ほどの種子が入っている。くせがなく香りも甘味を強く、シュガーアップルの別名を持つ。多くの熱帯フルーツの中でドリアンは大王、マンゴスチンは女王、バンレイシは皇太子の称号を持つ。生食が最高。シャーベット、ピューレジュースにも良い。

ハハコウ

 パパイヤに似た木で別名はマウンテンパパイヤ。果実は緑色で長さ30センチほど。南米アンデス山脈のコロンビア一帯の高山地帯が原産。果実は長さ30センチ、直径10センチほど。パパイヤ科で果肉はアッサリ、ビタミンCが多く低カロリー。現在の主産はニュージーランドに。完熟した果肉をジュースにすると上品な飲み物に。ジャムやシャーベット、アイスクリームに利用しても良い。特に熟しすぎたものがよく合う。将来性大である。

グヤバノ

グヤバノ

 原産地は西インド諸島と熱帯アメリカ、東南アジアでも多産される。大型で直径15〜30センチほどの楕円形。エキゾチックな熱帯果実で臭いは強烈。パイナップルやマンゴーにも似ている。周年出回り常時楽しめる。利用範囲は広く、生食、ピューレ、ジュース、シャーベット、アイスクリーム、サラダ、ジャム、発酵飲料などに。グヤバノはインドネシア語であるが英名のサワーソップは全世界的に通用。新しい味として急速に普及が期待。

タマリロ

 英語名ではツリートマト。日本では木立ちトマトとよぶ。果実は直径3〜4センチ、長さ7〜8センチほど。熟していない時はナスに似ているが緑色でやがて赤く変わる。果肉はオレンジ色。僅かな酸味と甘味が持ち味。縦に切って種子ごと食べるが、サラダによくジャムにもできる。生食の時は冷やした方が味がよい。手でさわって弾力のあるものが良品。現在はニュージーランド産やメキシコ産が主流となっている。

ナンカ

ナンカ

 食用となる果実では世界最大で、1個の重さは35〜50キロほど。女性一人では運びきれない。別名はジャックフルーツで原産はインド南部とみられる。果実は小さな小果の集合体で、一つの果実を切り分けて販売。臭いは熱帯フルーツに共通して強烈であり、果肉は甘くシコシコした歯応えがする。極めて有用な果樹で木は材木として利用、木肌が黄色く仏教寺院などに使われている。未熟果は野菜に、種子は煮る揚げるなどで賞味。

料理バナナ

料理バナナ

 生食バナナと違って料理専用。果肉は堅く芋に似ている。料理法は皮のついたまま蒸し焼き、皮をはいで焼くか、フライに。生産国では主食用として貴重。かつてニューギニアでは第二次大戦中、この自生地で日本軍の飢えを放った事で知られている。食べ方として、ミノモック=バナナもち、揚けバナナ、バナナの春巻き、バナナシェリー=シェリー酒をかけて煮込むなどバナナの生産量の半分は料理バナナで占められている。

フェショア

 ウルグアイ南部、ブラジルなどで産出。味と香りが良いので第二のキウイとして注目。グアバの仲間でビタミンCが非常に多い。6月ごろリンゴに似た美しいピンク色の花をつけ、花期は1ヶ月と長い。ヨーロッパでも人気の果実で、パイナップルに似て香りは高く、味はリンゴとバイナップルのミックス。果皮の中にクリーム色の果肉があり、熟すとゼリー状に。サラダ、ケーキ、ジャム、ジュース、シャーベットなどに利用。成長株に。

その他

 最後に中国の果実を紹介する。

愛王子(オーキョウチー)

オーキョウチー

 台湾特産クワ科の果実。乾燥した果実からゼリーをつくる。寒天いたびの別名の如く夏場にドリンクやゼリーを作って賞味。ローカロリー、ヘルシーさで夏場に人気がわく。

五歛子(ウ・リュヌ・ス)

 別名楊桃と呼び中国人の好物果実。生食で食べるのが最高で西瓜よりも水分が多い。ジュースほかフルーツカクテルサラダなどに利用。果物酒にもされる。

まとめ

 世界にはこれから成長期待の珍果が多い!!

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この記事を書いた方

太木光一

この記事を書いた方

食品評論家太木光一

1947年早稲田大学商学部卒業。同年昭和産業に入社し、一貫して調査業務に携わる。調査部長を経て1979年に退社するが、在社当時から食品と食品産業について新聞・雑誌に健筆をふるい、食品産業評論家として活躍する。通産省中小企業振興事業団の需要動向委員のほか多くの政府委員を歴任するとともに食品メーカー、問屋、高級食料・食品店の顧問にも就いていた。海外視察は280回以上に上る。主な著書は「日本の食品工業」(共著)、「新・一般食品入門」、「惣菜食品の強化技術」、「食材の基礎知識」など多数。

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