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清田ダイアリー KIYOTA DIARY

ペルーの味

代表的なペルー料理の紹介

太木光一
食品評論家 太木光一

2020年03月01日

ペルーの味

 世界で最も豊かな国と言われるペルー。歴史的遺産はマチュピチュだけでなく、ペルー各地に見られ、伝統に現代が息づく国です。そんな国の代表的な食べ物をまとめた。

ペルーについて

 ペルーは南アメリカ大陸の西部に位置し、太平洋に接している。面積は日本の約3.5倍で人口は2,500万人。国土の中央部をアンデス山脈が南北に走っている。

 アンデス山脈の西斜面は標高2,000メートル以上の高原で国土の30%を占めている。東斜面は森林地帯でアマゾン川流域の低地に続く。北部はエクアドル、南部はチリ、ボリビアに接し、ボリビア国境にはチチカカ湖がある。

 大平洋岸のペルー沖は暖流と寒流がぶつかる好漁場で、アンチョビーが多く獲れ、漁獲高は世界屈指で魚飼として輸出される。

 また鉱産物に恵まれ、銅、亜鉛、鉛、鉄、銀、石油、バナジウムなどと多く輸出品の主力に。農水産、牧畜業も盛んであり産物は豊言。

ペルーの果物

 果物ではバナナ、パパイヤ、ココナッツ、パイナップル、グアバ、グヤバノ、サポジラ、パッションフルーツ、バンレイシなど強い太陽と乾いた空気で甘味も強く美味である。ぺルー特産ともみられる農産物も多く見られる。

ルクマ

ルクマ

 ルクマはペルー原産で別名エッグフルーツ。インカ時代から人々の栄養源として親しまれてきた。皮は深緑で果肉はやや黄色で中に大きな種子があり、熟すと皮にもしわができる。果肉は甘く香りも強い。酸味が少なくアイスクリームやデザートに利用。鉄分やミネラルが多く栄養価の高いフルーツとして注目。

カムカム

カムカム

 カムカムも特産物でアマゾン一帯にみられるフトモモ科の小果。世界一ビタミンCを含有し100グラム中2,700ミリグラムとアセロラの2倍、レモンの50倍と多い。またクエン酸を多く含んでいるので、飲み物に使う場合クエン酸の添加不要。アイスクリーム、ジャム、あめなどの加工に適している。

ペルーの作物

キヌア

キヌア

 キヌアはアンデス一帯の高原が原産地。インカ時代から主食に。耐寒性の強い作物でホウレン草と同じアカザ科。でんぷんとタンパク質が多く食用に。日本の健食店でも販売中。キヌアご飯(白米混合)、キヌアクッキー、キヌヌアパンなどに利用。アトピーや高血圧予防に向くとされている。パンやクッキーなどに加えるとボソボソ感も減り、味も向上する。

ヤーコーン

ヤーコーン

 ヤーコンはアンテス山脈原産のキク科の根業。インカ時代から栽培されてきた。根の形状はサツマイモ、味はシャキシャキと梨に似ている。オリゴ糖の含有は世界一。

 老化を促進する活性酸素の発生を抑え血管壁を強化し血糖値を下げる。生食すると美味。日本のTVでも効能が紹介され知名度は急昇人気の野菜である。

アマランサス

 アマランサスはヒエ科の1年草でアンデス山脈が原産地。現在ではインドやアフリカでも栽培。葉は青葉としてホウレン草に似て美味。お浸しや炒めものにも向く。種子は米同様に、炊いて食べる。粉にしてパンや菓子にも利用。トマトと対比して、カロチンと鉄は10倍、カルシウムは40倍、ビタミンCは3倍と多く、スーパークレーン(驚異の穀物)の別名を持つ。アマランサスビスケット、アマランサスビネガーなども発売。優れた健食として注目。

マカ

 マカはインカ帝国の繁栄を支えた伝説の秘草で成分に優れ、アルカロイド、アントシアニン、サポニンほかを含み、当時の特権階級の食物とされた。効用としてストレスを減らし、集中力と記憶力を向上させ、活力源となる。現在ではある日本のウィスキー企業が、パワーアップ目的の健康食材として宣伝している。

アンデスポテト

アンデスポテト

 アンデスポテトはアンデス山脈が原産で、ピンポン王の大きさ。中身は黄色でキメが細かく卵黄に似た味わい。ホクホクとして量産ポテトとは大差。オードブルやシチューに利用。日本でも入手が可能となった。未知のペルーはまさに美味な食材の山で、これからの開発を待っている。

ペルー料理

 そしてこれら食材を利用した料理も絶品。日系人が多く、醤油味(ソイソース)が浸透しているため食べやすい。農水畜産物が豊富で価格は比較的安い。代表メニューをみる。

・アンティクーチョ 牛の心臓の串焼き。香草で臭みを抜き食べやすい。
・タマリ とうもろこしの粉をバナナの葉で包んで蒸す。
・セビチェ 新鮮な魚介類をライムでしめる。
・ババレシェーナ スパイシーなコロッケ
・パチャマニカ 肉や野菜の丸ごと蒸し
・サンコッチョ ペルー版ポトフ
・サルサ・テ・セボーシャ 玉ねぎスライスサラダ
・エス・トファート・テ・ボーヨ 若鶏煮込み
・ソバ・ミヌータ こま切れのスープ
・エスカベッチェ 揚け魚のトマト煮
・タシャリネス・ベルテス 緑のヌードル
・アマリコス・ア・ラ・クリシア アサリワイン蒸し
・コンチラスパルメサーナ 帆立のチーズ焼
・ソルビコン・テ・ボショ ペルー風サラダ

ほか数十アイテム。試食すると美味で安価でヘルシーである。果物がこれに続く。まさに宝の山で、これからの成長が期待されよう。

この記事を書いた方

太木光一

この記事を書いた方

食品評論家太木光一

1947年早稲田大学商学部卒業。同年昭和産業に入社し、一貫して調査業務に携わる。調査部長を経て1979年に退社するが、在社当時から食品と食品産業について新聞・雑誌に健筆をふるい、食品産業評論家として活躍する。通産省中小企業振興事業団の需要動向委員のほか多くの政府委員を歴任するとともに食品メーカー、問屋、高級食料・食品店の顧問にも就いていた。海外視察は280回以上に上る。主な著書は「日本の食品工業」(共著)、「新・一般食品入門」、「惣菜食品の強化技術」、「食材の基礎知識」など多数。

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