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清田ダイアリー KIYOTA DIARY

アルジェリアの味

フランスの影響が色濃く残るアラブ地域の料理

太木光一
食品評論家 太木光一

2020年05月01日

アルジェリアの味

 アフリカ最大の面積を持つ広大なアルジェリア。モロッコやチュニジアと比べるとフランスの植民地期間も長く、その影響が食にも現れている。今回はアルジェリア料理について紹介する。

アルジェリアについて

 アルジェリアはアフリカ大陸の北西部に位置し、北部は地中海、西にモロッコ、東はチュニジアと接している。国土の85%はサハラ砂漠でこの面積は約240万平方キロと日本の約68倍、世界では10位の広さである。

 国土の70%が標高800〜1,000メートルの高原にあり最高峰はアトラス山脈のシャバルシェリアで標高2,536この山脈によって地中海から南下する湿気がくい止められて雨となる。地味の肥えた耕作に適し、ブドウ、オリーブ、柑橘、小麦、大麦などが多産。

アルジェリアの産業

アルジェリアの黒砂漠

 乾燥地帯は遊牧生活や、フォーカラと呼ばれる地下水路で、水のある場所で営農がされる。

 サハラ砂漠では石油や石油ガスが産出され、最も重要な輸出品となる。鉄やタングステンも豊富で、石油化学、機械工業が都市部に集中。北域を中心とする大規模農業は始まったばかり、現在計画されているダムを次々に完成し成長率は人口増加率の4%を超えている。

 石油ガスも有望で、モロッコ経由スペイン、ビレネー経由フランス、ドイツなどの遠大なパイプラインが進められ豊かな国となり、農業は輸出国から輸入国と変わってきた。

アルジェリアの街の特徴

 首都のアルジェは海に面して急斜面のモスクや近代的な家々が立ち並ぶ。空と海の青さと白い家々で白いアルジェと呼ばれる。ジャン・ギャバン主演の望郷(ペペルモコ)の舞台となった、最もアラブ=アルジェの地域で、カスパとよばれ迷路のような小道と急な坂道を特徴とする旧市街である。

 アルジェリア北部の主要都市周辺は温泉に恵まれ、その昔ローマ人も利用したと言われている。現在国全体として石油や天然ガスに恵まれて開発中。更に大規模農業も推進され、国の成長率も人口増加率の4%を超え一段の発展が期待されると言えよう。

アルジェリアの食事の特徴

 アルジェリアの食事の特徴はアラブとヨーロッパ(特にフランス)の混合型。一般的にはパンが常食。朝食はパンと牛乳、昼食は野菜サラダ、フライドポテトとアルジェリア型食事。タ食は野菜又は肉スープに肉と卯料理が加わる。宗教上(イスラム)は豚肉を食べず、鶏や羊肉を好む。又国産の優れた味のワインを楽しみ、フランス的なケーキを堪能する。

アルジェリア料理

 代表的な人気メニューを紹介する。

クスクス

クスクス

 モロッコと同様に主食となる。バラエティは非常に多く、先住民のベルベル人が創出したデューラム小麦を粒食にして食べる。

ショルバ

 魚のすり身などをトマトと煮込んだスープで最も人気が高い。

ショルバ・ヘイダ

 ひよこ豆と鶏肉をベースに王ねぎ・ポテトなどを加えた具だくさんのスープ。庶民味で人気が高い。

ショルバ・テス

ショルバ・テス

 レンズ豆のスープ。レンズ豆をベースに、鶏ささみ、人参、ポテト、王ねぎ、トマトが主材。よく食べられている。

サーティナ・フッウイタ

 いわしのアラブ式蒸し煮。この蒸し煮は水を使わない調理法。アルジェリアは砂漠の国で、水を使わないで油だけで蒸し煮する。密封した鍋に10〜15分間、弱火で蒸し煮する。材料の味が損なわれず美味である。

ハテンシェル・シテハタ

 なすとトマトの蒸し煮。水を入れないで、弱火で15分間蒸し煮する。上記と同じで味が良い。

シェシ・フィ・ツイトウン

 鶏肉のオリーブ煮。玉ねぎ、トマトを小さく切り、水を加えて煮る。更に15分ほど煮て塩抜きしたオリーブの実を入れ鶏肉を加えて煮る。

その他

 ブロッコリー、マクリー、カリフラワーのフライ。カリフラワーの衣揚げ、チラダ、ピーマンのフライ、サラダ、ラム、フト・テファハ、ラム肉のリンコ煮など料理のバラエティは多く何れも美味。

アルジェリアとフランス

アルジェリアのデザート

 アルジェリアは砂漠や山地の多い国であるが、地中海に面した北部地方は気候が温暖で食べ物も豊富である。またフランスの植民地時代が長かったため、料理の面でもフランスの影響を一番多く受けている。パン、ケーキ、コーヒーなどにもよくみられる。サムサ(アーモンドケーキ)、サラビアン(揚げたケーキ)、カフェ(ムーア風コーヒー)などである。

 首都アルジェにはフランス料理を筆頭に、ベトナム料理イタリア料理などがみられるが、なかなかの味で人気が高い。そして珍しい味として羊乳、ラクダ乳、ラクダ肉、ミントティなどがあげられる。

 特にミントティはマグレブ諸国には共通的な飲み物で、紅茶を入れたコップにミントの葉を入れ熱湯を注ぐ。相当量の砂糖を入れて飲む。この熱いミントティが避暑の方法とされている。

宗教による食の変化

 イスラム暦の9月は断食月ラマタン。宗教に比較的忠実なアルジェリアは、この期間中タバコは勿論自分の唾も飲み込むことは許されない。外国人用を除いて食堂はすべて閉鎖。

まとめ

 アルジェリアはマグレブ諸国の中ではフランスの植民地支配が長かったため料理の面でもフランスの影響を一番多く受けている。

この記事を書いた方

太木光一

この記事を書いた方

食品評論家太木光一

1947年早稲田大学商学部卒業。同年昭和産業に入社し、一貫して調査業務に携わる。調査部長を経て1979年に退社するが、在社当時から食品と食品産業について新聞・雑誌に健筆をふるい、食品産業評論家として活躍する。通産省中小企業振興事業団の需要動向委員のほか多くの政府委員を歴任するとともに食品メーカー、問屋、高級食料・食品店の顧問にも就いていた。海外視察は280回以上に上る。主な著書は「日本の食品工業」(共著)、「新・一般食品入門」、「惣菜食品の強化技術」、「食材の基礎知識」など多数。