清田ダイアリー KIYOTA DIARY
2021年食市場のトレンド予測「HITキーワードBest10」
食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気
2021年02月01日
2021年が始まりました。終息が見えない新型コロナウイルス。大きな影響を受けている食業界の皆さん、「今年はどうなるの?」と例年に増してトレンドを気にしていらっしゃいます。そこで今年も昨年に引き続き、弊社の「2021年 食市場のトレンド予測」をご紹介しましょう。
1位 「AI × 食」
AI技術の発達は、食の世界にも大きな進化を与えています。味の素は、AIを活用した自動献立提案システムを導入したレシピサイトを展開。「おいしい健康」は、患者が病気の症状など個人データを入力すると、AIが適切な献立を提案してくれるアプリを提供しています。高血圧やがんなど50種類近い病気に対応しています。AIが品名を分析、スーパーで販売している商品の9割ほどの栄養情報を抽出できるアプリも開発されています。さらには、言葉や行動からでは読めない、人間の脳に隠れた意識をAIに学ばせ、本人ですら自覚しにくい好みを脳活動から探り、効果的な商品開発に繋げる取り組みが進んでいます。
2位 「高付加価値食」
新型コロナウイルス下で節約志向が強まる反面、外食の機会が減り、家でプチ贅沢を楽しむ生活者が増えています。特に30代以上の世代では、価値を認めたものは少し割高でも購入する傾向があり、よいものを適量欲しいというニーズが高まっています。安全安心なオーガニックワイン、草だけを食べて育った牛の乳から作られたグラスフェッドバター、烏骨鶏や高麗人参など希少な食材を使ったフリーズドライのお粥など、エビデンスのある価値を有する食の人気がますます上がるでしょう。
3位 「マインド重視」
家で過ごす時間が増えて、自分の心に向き合う生活者が増えています。先行き不安、人と交われない孤独感など、昨年から続く「癒しのニーズ」はさらに強くなっています。そんな中、心の状態、マインドでその日のメニューや商品を選択できるサービスが登場しています。忙しい女性のリフレッシュタイムを香りで応援するレトルトカレー、気分やシーンに合わせてお茶を楽しく選べるムードペアリングティなど。ほっこりしたい、元気になりたいなど、食で自分の気持ちをコントロールしたい、食を自分の気分に寄り添わせたい。そんなニーズが顕在化しています。
4位 「チルアウト」
昨年に引き続き、今年もトレンドから外せないキーワードです。「チルアウト」とは、 ”まったりする、くつろぐ、落ち着く” といった意味の英語で、「チルる」「チルってる」などの使い方で、若者を中心に浸透しています。瞑想やマインドフルネスに興味を持つ生活者が増えていて、チルアウトをコンセプトにした食品や飲料も登場しています。
5位 「自分最適食」
日清食品は、一人ひとりの体質や要望に合わせてパーソナライズされた自分最適食の開発に取り組んでいます。例えば、同じ味、同じ見た目のトンコツラーメンなのに、食べる人に合わせた栄養素とカロリーで提供できるようになるといいます。また高精度なパーソナライズシステムを用いて自分に合うワインを3,000億通りの中から選んでくれるサービスや、毛髪から必須ミネラルの体内含有量を検査。その結果から自分の栄養状態に合わせて選べる有機野菜セットのサブスクの展開も始まっています。
6位 「若年フレイル」
「フレイル」とは本来、高齢者を対象に ”加齢により心身が老い衰えた状態” を表わす言葉ですが、巣ごもり生活が続いたことで筋力が衰えたと痛感する生活者が増え、ここに来て、積極的にフレイル対策をする人が、高齢者だけでなく、中年層にも増えています。プロテイン含有食品や高栄養バランス食品など、中年層もターゲットに含めた開発と販促が可能です。
7位 「日本版スローフード」
1986年、イタリアの小さな町で始まった「スローフード運動」。 ”自分たちの食と生活をしっかりと見つめ直し、歴史と文化に裏付けされた人にやさしい食文化を進めましょう” という運動です。このほか、子どもたちへの食教育も重視し、家族揃って食卓を囲む団らんや、日常的な親子の交流の中で、正しい食生活や伝統、知識を伝えていくことの重要性なども説いています。巣ごもり生活で自炊を続ける日々の中で、生活者は食に向き合い、食を考える時間が増え、丁寧な食生活をしたいと考えるようになりました。料理をし、家族で食卓を囲み、乾物や干物が注目され、手作りみそにチャレンジする人が増えました。日本版スローフードがますます広がるものと思います。
その他、映像や音を使って五感で楽しむ「エンタメ食」も昨年に続き人気ですし、ヘルシー志向と台湾人気を受けて、「漢方・薬膳」も徐々に浸透。生薬入りだしパックや薬膳用調味料が発売されたり、テイクアウト・デリバリーに特化した薬膳スープ専門店がオープンしたりするなど、手軽に試せる環境も整っています。が一方で、ヘルシー志向の反動のように、高カロリーでボリューム満点の料理を求める「 ”健康” 疲れ」も出ています。
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清田産業では、メニュー、レシピ、調理方法、試作など、ご提案から開発までワンストップで対応します。豊富な経験と研究開発実績から、付加価値の高い製品開発を実現します。
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この記事を書いた方
この記事を書いた方
株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子
加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。
http://himeko.co.jp/