清田ダイアリー KIYOTA DIARY
食の植物化(5)-卵代替え製品
食にかかわるアメリカの業界情報
2020年10月01日
以前に「食の植物化」として肉代替え製品、乳代替え飲料、乳製品の代替え製品を紹介した。この動物たんぱく代替え製品はさらに広がってきており、卵や水産物の代替え製品が出てきている。
卵はアメリカで指定されている食品アレルギー物質の一つで、卵アレルギーの人は卵あるいは卵成分を含む食品を食べると皮膚にかゆみやただれ、熱、胃腸不良、などが起きる。子供に多く、アメリカでは2%の人が卵アレルギーであるといわれている。そうした人やヴィーガンのために卵代替え製品が出されているのでここにいくつか紹介する。
卵アレルギーに対応する製品
卵料理が作れる中で最も卵に近い製品はJust社が出している”JUST Egg”である。

成分は水、単離マング・ビーンズ(緑豆)たんぱく、カノーラ油、(以後配合割合が2%以下)乾燥オニオン、グランガム、天然人参エキス(色)、天然フレーバー、天然ターメリックエキス(色)、クエン酸カリウム、大豆レシチン、砂糖、タピオカシロップ、ピロリン酸4ナトリウム、トランスグルタミナーゼ、ナイシン(保存料)である。
トランスグルタミナーゼはおそらくマング・ビーンズのたんぱくを結合して粘度を上げるために加えてあるものと思われる。
サンドイッチなどにそのまま使える製品
Just社は四角い卵焼きにして、料理に使いやすいようにした、”JUST Egg Folded”も出している。

成分は上の液体製品とは少し異なり、単離マング・ビーンズ(緑豆)たんぱく、カノーラ油、コーンスターチ、(以後2%以下)ベーキング・パウダー(ナトリウム水素ピロリン酸塩、重炭酸ナトリウム、コーンスターチ、リン酸モノカルシウム)、乾燥ガーリック、天然人参エキス(色)、天然ターメリックエキス(色)、塩、トランスグルタミナーゼである。
ベーキングパウダーで卵焼きのようなふわっとした食感を出している。卵料理に使える卵代替え製品はこの2つだけで、やはり卵の食感、味を作り出すのはなかなか難しいようである。
ベーキング用の卵代替え製品
卵の代替え製品には粉末の製品が多い。これらはパン、マフィン、クッキー、ケーキなどのベーキング製品で卵の代替えをするもので、卵のペーキングでの物性を出せるような成分を組み合わせて作り出すことができる。
”Bob's Red Mill”のエッグフリーベーキングパウダー
”Bob's Red Mill”ブランドのグルテン・フリーの卵代替え製品”Egg Replacer”の成分は、ポテト・スターチ、タピオ力粉、ベーキングソーダ、サイリウム・ハスク繊維である。

Eatne社のエッグフリーベーキングパウダー
”NeatEgg”の卵代替え製品もベーキング用で、この製品はチアの種とガルバンゾ・ビーンズ(ヒヨコマメ)だけである。

Ener-G Foods社の“Egg Replacer"
Ener-G Foods社の“Egg Replacer"も同じくベーキングで卵の代わりに使うもので、成分は、ポテト・スターチ、タピオカ・スターチ、膨張剤(酪酸カルシウム、炭酸カルシウム)、クリーム・オブ・ターター(酒石英)、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルローズである。
卵の黄身だけを代替した製品
卵の黄身の部分だけの代替え製品もある。Vegg社は”Vegan Egg York”を出しており、この成分が栄養強化した栄養イースト(ドライ・イースト、ナイアシン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、チアミン塩酸塩、葉酸、ビタミンB12)、アルギン酸ナトリウム、黒塩(*)、ベータカロチンである。

栄養イーストはヴィーガン食の成分としてあるいはサプリメントとして最近よく使われる成分で不活性化したイーストである。この会社では他に卵スクランブルを作るためのミックスも出している。

この成分は、単離大豆たんぱく、全藻たんぱく(※)、全藻粉、栄養強化した栄養イースト、塩化マグネシウム、黒海の塩である。こうした処方を見ると卵の性質を出すのに、かなり色々な成分が使われており、非常に興味深い。
*:黒塩はヒマラヤでとれる黒い塩。
※:藻類から抽出したたんぱく質。
付加価値の高い
食品・製品を開発します
清田産業では、メニュー、レシピ、調理方法、試作など、ご提案から開発までワンストップで対応します。豊富な経験と研究開発実績から、付加価値の高い製品開発を実現します。
-
全国屈指の取扱原材料
10,000種類以上 -
多角的な視点からの
課題解決 -
掛け算のアイデアと
開発力
お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた方
この記事を書いた方
JTCインターナショナル社長吉田隆夫
アメリカのフロリダ大学の分子進化研究所で2年間研究、さらにシラキュース大学で後にノーベル賞受賞された根岸英一先生の教室で2年間有機金属化学を研究し、IFF社の研究所で約11年間香料の研究。その後、カーリンフード社(後にブンゲ社)に5年勤務、独立して食品産業のコンサルタントを30年以上続けている。アメリカ食品産業研究会、e-食安全研究会、クリエイティブ食品開発技術者協会を設立し、その活動をしている。
http://www.e-syoku-anzen.com/