清田産業株式会社

清田ダイアリー KIYOTA DIARY

動物性から植物性タンパク質へ。急速に開発が進む肉代替食品

食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気

山下智子
株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授 山下智子

2018年07月01日

動物性から植物性タンパク質へ。急速に開発が進む肉代替食品

 食糧不足や地球環境への懸念、動物愛護、ベジタリアンの増加、ヘルシー志向の広がりを受け、肉や魚以外のタンパク源への関心が、世界的に高まっています。中でも米国では、肉代替食品の開発が盛んで、普通の肉と遜色のない味わいのレベルにまで達している商品が、既に一般に販売されています。

米国で広がる「ミートレス・バーガー」

 米国では、植物を原料にした肉代替食品を使う「ミートレス・バーガー」が広がりつつあります。従来の大豆で作られたベジタリアン向けパテとは異なり、味や食感、香りなどをできる限り本物の牛肉に近付けているのが特徴です。
 食品ベンチャーのインポッシブル・フーズが開発した肉代替食品のパテは現在、全米50店以上のレストランで提供され、昨年夏にはロサンゼルス発の高級バーガーチェーン「ウマミ・バーガー」のメニューにも加わりました。
 同様の肉代替食品を開発したビヨンド・ミートは、ホールフーズなど小売店を通じた販売経路に注力していて、同社のバーガー用パテ「ビヨンド・ミート」は全米3000以上の小売店で扱われています。このパテを使用するビーガン向けの新しいハンバーガーチェーン「ネクスト・レベル・バーガー」は、西海岸で急速に拡大中です。

紙包から出したハンバーガー

肉を超えたパテ!?「ビヨンド・ミート」

 ビヨンド・ミートの場合、主原料はえんどう豆で、肉と同等のタンパク質量、カロリーを保ちながら、コレステロールはゼロ。ビーツで赤い色が付けられていて、見た目は普通のハンバーグそのものです。食感、香り、肉汁なども肉に似せるため、酵母エキスや精製ココナッツオイルを加えるなどの工夫がされています。塩とこしょうで味付けし、油をひかずに6分ほど焼けばでき上がり。食べるとバターのような風味と濃厚な味わいが感じられ、言われなければ本物の肉と間違えるほどの味わいだといいます。因みに、ビヨンドとは、〇○を超えた、○○以上という意味なので、 ”肉を超えた” という意味になります。
 最近では、本物と遜色ない出来栄えのグリルチキンのスティックやタコス用のひき肉など種類も増えていて、米国では、肉代替食品が急速に普及する日も近いと言われています。

お皿に並べられたタコス

日本にも肉代替食品開発企業が登場

 日本においては、三井物産が今年、「ビヨンド・バーガー」を日本市場に投入。健康意識が高い生活者のニーズを見込み、高級ハンバーガーを扱うレストランなどに販売します。まずは東京五輪までにベジタリアンやビーガンのインバウンドに提供できる体制を整え、将来的には、ミンチの形状を生かして餃子や担々麺に使う挽き肉代わりとして供給することも検討しています。
 一方、日本にも、肉代替食品を開発。国内ではなく、海外に販路を求めている会社があります。商品は、大豆が原料の「VEGAN SOY MEAT」で、米国のスーパーやフランスの外食店に輸出を始めています。焼肉風の味が付いていて、ゆでたり電子レンジで温めたりするだけで食べられます。さらに米国市場においては、ラーメン店向け商品として「ベジタリアンチャーシュー」の開発も検討中で、大豆を丸めた唐揚げや餃子の具に使えるミンチタイプの加工品の開発にも取り組んでいます。

チャーシューメン

日本企業も注目する植物性タンパク質食品

 日本企業も、肉に代わるタンパン質食品の開発に取り組み始めています。
 味の素はイスラエルのベンチャー企業ヒノマン社と共同で、水草が原料の高タンパク植物素材「マンカイ」を使った家庭用食品を開発しています。マンカイは、ビタミンや食物繊維などを含み、既存のタンパク質素材に比べて体内の消化・吸収効率がよいとされています。粉末状のため、パスタやデザートなど多様な食品に使えるほか、高齢者向けのサプリメントなどへの展開も可能です。
 日清食品は、脱脂大豆を食肉風に加工した「ソイ・ミート」の開発を進めています。食感をより肉に近付けるための技術を研究していて、2020年までに、即席麺の具材などへの実用化にメドを付けたい考えです。
 また大塚製薬は昨年夏、植物由来成分を使ったチーズやヨーグルトの代替食品を手掛ける、カナダの食品会社デイヤフーズを買収すると発表。日本でも商品を販売する予定です。

肉と野菜がのったインスタントラーメン

 こうした肉に代わる食品の開発が盛んな理由は、地球の人口増加と自然環境の変化によって、畜産や水産だけに頼っていては、将来、タンパク質が賄いきれなくなることが明確だからです。加えて、植物由来の肉代替食品の世界市場は年率8%で成長していて、2020年には52億ドルを超えるとの試算もあります。活発な投資を背景に、開発のスピードはますます高まっています。
 日本の食市場において、植物性の肉が珍しいものではなくなる日は、そう遠くないかもしれません。

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清田産業では、メニュー、レシピ、調理方法、試作など、ご提案から開発までワンストップで対応します。豊富な経験と研究開発実績から、付加価値の高い製品開発を実現します。

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この記事を書いた方

山下智子

この記事を書いた方

株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子

加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。

http://himeko.co.jp/

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