清田産業株式会社

清田ダイアリー KIYOTA DIARY

2026年食市場のトレンド予測「HITキーワードBest10」

食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気

山下智子
株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授 山下智子

2026年03月02日

2026年食市場のトレンド予測「HITキーワードBest10」

 2026年が始まりました。今年も、なんとなく不安な気持ちでお正月を迎えました。不安感は、年々強くなっているように思います。そこで、【2026年食市場のトレンド予測】の決定に当たり、私は昨年同様、 ”身体と心の健康” と「癒やしニーズ」を柱に、今年は「自分ファースト」を1位に挙げました。自分にとって最も重要なことは、 ”我が身の健康” と ”我が心の平穏” 。 ”健康は富に勝る” という格言通り、健康を維持することは何にも勝る節約術です。そして、「癒やしニーズ」の強まりと共に最近再びよく聞かれるようになったキャッチフレーズが “自分ご褒美” 。ひとときの安らぎと幸福感をもたらしてくれる食への期待は、ますます高まっています。

ヒットキーワードベスト10

1位「自分ファースト」

 近年、 ”ご自愛” や ”自分へのご褒美” ”背徳スイーツ” といった言葉に象徴されるように、頑張る自分を認め、癒やし、甘やかす価値観が広がっています。
 「自分ファースト」とは、自分のことを後回しにせず、 ”自分の時間を大切にし、自分を優先して幸せになろう” という考え方や生き方で、自己中心的ではなく、自己成長や自分の心を大切にしながら、他者との関係も意識するバランスの取れたライフスタイルを指します。
 ご褒美スイーツやプチ贅沢フードは、単なる嗜好品ではなく、自分を労わる時間として楽しむことで、心身のリフレッシュに繋がるものとして浸透。SNSでは、 ”自分を喜ばせる” ”自分の時間を充実させる” といった思いや時間の過ごし方を共有する動きも広がり、食がポジティブな自己表現のひとつになっています。他人や社会の基準よりも、自分の心地よさを基準に選ぶ―。そんな価値観の転換が、食の分野にも確実に広がっています。

自分の趣味を楽しむ男女

2位「リカバリー消費」

 生活者の ”疲労感” や ”精神的ストレス” による生活の質の低下が、大きな問題になっています。特に働き盛り世代においては、 ”疲労感” と ”ストレス・緊張・心理的負荷” の関係性は強く、身体だけでなく心のケアも重要とされていて、身体と心の ”疲労感” を癒やしたい生活者に向けて、さまざまな商品やサービスが開発されています。
  ”健康・機能食品” ”生活用品” ”機器用品” の3カテゴリーで構成されるストレス緩和商品の市場は2025年に前年比3%増の1336億円となり、30年には1437億円まで拡大する見込みです。ストレスの緩和や低減、リラックス効果、睡眠改善を訴求した食品、ドリンク類、サプリメントを指す ”健康・機能食品” は全体の8割以上を占め、市場をけん引。特に、ストレス緩和を促し睡眠の質を向上させるドリンク類が人気で、各社は生活習慣に組み込みやすくするため飲用シーンの定着化を図り、リピーター育成に努めています。
 キリンホールディングスは、 ”疲労感” を軽減する機能と ”穏やかな気持ち” をサポートする機能、さらに睡眠の質の向上を支える機能を持つ機能性表示食品「キリン オルニチンPRO 疲労感&気持ちケア+睡眠の質」を発売しました。身体だけでなく心までトータルで考え、1日を前向きにスタートしたい生活者をサポートします。
 またポッカサッポロフード&ビバレッジは、ため息をつきたくなる夜に疲れた心がちょっぴり軽くなる ”おかえりなさいのレモネード” と謳うペットボトル飲料「ため息をつきたくなる夜だから」を期間限定発売しました。
 若年層女性の約7割が ”何もしない、考えない時間” を大切にしたいと考え、 ”効率的” な時間を重視しながらも ”タイパ” とは異なる過ごし方に魅力を感じる割合が増加していることや、若年女性の疲れの原因として ”精神的ストレス” が高い傾向にあることに着目。レモン飲料は ”疲れを癒やしたいリラックスシーン” での飲用意向が高いといいます。

キリンホールディングス「キリン オルニチンPRO 疲労感&気持ちケア+睡眠の質」
画像引用元:PR TIMES キリンホールディングス「キリン オルニチンPRO 疲労感&気持ちケア+睡眠の質」

3位「漢方・薬膳」

 働き方やライフスタイルが多様化する中、 ”体の内側から整え、日々メンテナンスを行いたい” という健康観から、日常の中で無理なく続けられる「漢方・薬膳」が注目されています。「漢方・薬膳」というキーワードは、過去に2005年、13年、21年の3回登場しています。古くて新しい予防目的の食品として、「漢方・薬膳」はカタチをイマドキに変えながら、裾野は広がり続けるのかもしれません。
 サントリー食品インターナショナルは、薬膳専門の新ブランド「薬膳好日(やくぜんこうじつ)」を立ち上げ、シリーズ第1弾としてペットボトル入り飲料「ジンジャー&ソーダ」を発売しました。 ”薬膳” を、もっと手軽に取り入れられる商品を届けたいという想いから、このブランドを創設。薬膳の基本である五味(酸・苦・甘・辛・鹹)の思想に基づき、素材をバランスよく配合しています。
  ”植物” でやさしく整える場所「喫茶 植物最高」が、東京・原宿にオープンしました。世界中から厳選したハーブと信頼できる農家から届く野菜などを用いた薬酒・薬茶、薬膳カレーをメインに提供。事前予約で薬膳火鍋も楽しめます。深呼吸をするように、植物でやさしく心と身体をほどき、バランスを整える空間を堪能してほしいといいます。

サントリー食品インターナショナル「薬膳好日 ジンジャー&ソーダ」
画像引用元:PR TIMES サントリー食品インターナショナル「薬膳好日 ジンジャー&ソーダ」

4位「和 味(わみ)」

 和の要素がポイントになり魅力が増す折衷料理や、和風味そのものを深化させた料理など、日本の伝統的な味やカルチャー、日本テロワールを感じさせる「和味」の世界が広がっています。
 和野菜にこだわり、だしに和の調味料とスパイスを重ねた ”次世代の日本のカレー文化” を提案するスープカレー専門店「幕末カリー」が渋谷に、昆布やシジミのだしに麻辣が香る ”日本人好みの麻辣湯” を追求した和風だし麻辣湯専門店「転転麻辣湯(テンテンマーラータン)」が代官山にそれぞれオープン。にんべんと洋食店「三代目たいめいけん」がコラボし、 ”#だしと洋食” をテーマにした企画を始めるなど、飲食業界は新しい展開のひとつとして和味に関心を寄せています。
 一方、米国では、ごま油や、みそなどの発酵食品を使った ”UMAMIカクテル” が人気になったり、フランスでは、パリ・ブレストに着想を得たどら焼きや、モンブランのような見た目のどら焼きなどが登場したり。和味は世界のトレンドなのかもしれません。

ALL FARM「幕末カリー “幕末” 」
画像引用元:PR TIMES ALL FARM「幕末カリー “幕末” 」

5位「おやつ食」

 3食の食事をしっかり摂ることを面倒と感じる、気持ちはあっても時間がない、手間をかけられないという生活者は増加傾向にあります。加えて、生活スタイルの多様化やリモートワークの定着で間食と食事の境界線が曖昧に。そんな動きと同時進行するように、食事代わりの「おやつ食」市場が広がっています。
 おやつに関する考え方にも、変化があります。タンパク質など日本人に不足しがちな栄養を間食で補えばいいのではといった考え方や、おやつとして少量ずつ分けて食べることで栄養の吸収率が高まるなどの理由で、おやつを ”食事” として肯定する生活者も増えているようです。
 COMP(コンプ)は、UHA味覚糖と共同で、「COMP 完全グミ」を開発。大阪・関西万博や関西エリアの一部などで限定的に扱っていましたが、好評を受けて、首都圏の一部セブンイレブンで販売を始めました。おやつ感覚で理想的な栄養を摂れるのが特徴で、 ”昼、COMPでイイじゃん。” と手軽で新しい食の選択肢としてアピールしています。
 一方、ロッテは1個あたりの重量が通常の「パイの実」の約3倍の「おおきなパイの実<コーンポタージュ>」を発売。湖池屋も同様に、ひと口サイズの甘くないセイボリーパイ「ランチパイ」ブランドを立ち上げ、食事でもおやつでもない食べ応えと満足感を提供しています。

COMP×UHA味覚糖「完全グミ(エナジードリンク風味)」
画像引用元:PR TIMES COMP×UHA味覚糖「完全グミ(エナジードリンク風味)」

6位「コスパ栄養」

 止まらない食料品の値上げの波が家計を直撃。日々の節約に限界を感じる生活者も増える中、 ”食費は削りたいけれど、栄養は妥協したくない” との意識から、お金を、何なら手間もかけずに栄養を確保できる「コスパ栄養」への関心が高まっています。不足しがちな栄養素がバランスよく含まれている、必要量の野菜が摂れるなど、同じ価格なら栄養パフォーマンスがいいほうがトク。という考え方が強くなっているようです。
 クックパッドによると、2025年、給食関連のレシピ検索が前年比1.4倍に増加し、過去10年で最高になったそう。物価高騰の中でも健康のために栄養は確保したい生活者が、給食現場の ”コスパ栄養術” を積極的に活用しようとしている様子が窺えます。

栄養バランスの良い食事

7位「コンボケア食品」

 生活者が健康食品に求める機能は多様化しています。市場にはさまざまな健康効果を謳う商品が溢れていますが、最近目立つのが、 ”腸&肌ケア” ”疲労&脂肪対策” ”免疫&睡眠&記憶力サポート” など、複数の効果が期待できる「コンボケア食品」です。背景にあるのは、物価高の中で少しでもお得なものを選びたいというコスパ意識と、忙しい日々でも効率よく身体をケアしたいというタイパ志向。コスパを重視する生活者にとって、同程度の価格なら効果は1つより2つ、2つより3つの方がお得、と映ります。
 そんな心理を裏付けるように、森永乳業が昨秋発売した「森永ラクトフェリン200 ドリンクタイプ」は、免疫機能の維持に役立つ機能と、空気の乾燥に伴う一時的なのどの乾燥感を軽減するという、日本初の2つの機能が人気になり、売れています。また雪印メグミルクは、細胞と骨という2つの目的に着目したサプリメント「毎日ミライケア NMN & MBP」を発売しました。お金も時間も節約したい今の生活者が「コンボケア食品」を選ぶのは、必然なのかもしれません。

森永乳業「森永ラクトフェリン200ドリンクタイプ」
画像引用元:PR TIMES 森永乳業「森永ラクトフェリン200ドリンクタイプ」

8位「余韻消費」

 「エモ消費」の広がりを背景に、余韻を楽しむ商品や、余韻を持ち帰ってもらうサービスやイベントが増えています。背景には、「トキ消費」があります。口に入れた後に鼻に抜ける ”レトロネーザルアロマ” の余韻を、ウイスキーと共に味わう文学で時間の余韻を、また飲食店では、楽しんだ時間の余韻をおみやげにしたり。その時間を長くゆっくりと味わってもらうためにさまざまな余韻が提供されていて、余韻は生活者を魅了する新たな価値になっています。
 余韻商品を積極的に展開しているのが、UCC上島珈琲です。 ”余韻” に注目して上質な苦味と深いコクを味わえるようにした「UCC BLACK無糖・黒の余韻」を発売しました。リキャップ缶コーヒーユーザーは ”味や香りがおいしそうであること” が購入・飲用の選択基準になっていることに着目し、類似製品にはない ”余韻” をアピール。苦味や濃さを ”黒” 、心地よい上質な苦味の後味が長く続く味わいを ”余韻” と表現し、印象的に伝わるよう「黒の余韻」と命名しました。

UCC上島珈琲「UCC BLACK無糖 黒の余韻 リキャップ缶」
画像引用元:PR TIMES UCC上島珈琲「UCC BLACK無糖 黒の余韻 リキャップ缶」

9位「汗 活」

 短い春から一気に暑い夏へ。そして続く連日の猛暑。それが当たり前になると考える生活者の中に、 ”暑熱順化” に対する意識がいよいよ高まってきました。運動や温浴、食事などを通じて日常的に汗をかく習慣をつけることで身体を暑さに慣れさせ、熱中症にならない身体作りを行う「汗活」は、猛暑の夏を乗り切る第一歩です。
 汗をかくために食したいのが激辛やスパイシーなフード。おなじみの麻辣湯のほか、スパイスに漬け込んだ鶏肉をじっくり焼き上げたジャマイカのストリートフード ”ジャークチキン” も旬なメニューとしてちょっとしたブームになっています。また、温かさをキープするとろみや、身体を芯から温めるしょうがを利かせた料理は。冬の「汗活」にも最適。汗をかくことは、免疫力アップやストレス解消にも効果的で、疲労感を感じている生活者が多い今、「汗活」は暑熱順化をきっかけに、今まで以上に関心を集めることでしょう。

麻辣湯とジャークチキンの画像

10位「耐暑食品」

 夏の記録的な猛暑の常態化により、暑い環境でも品質や味が保てる食品へのニーズが高まっています。これまでの「耐暑食品」は、冷感スイーツやゼリー、発汗で失われがちな水分・塩分を補う飲料、夏バテ防止を意識した高栄養食品など、快適さや体調管理をアピールする商品が中心でしたが、最近では、食品そのものが高温に耐える ”耐暑性” を備えることが、新たな価値として注目されています。
 猛暑を日常の生活課題として受け止める生活者が増える中、チョコやスイーツの耐熱加工、常温保存のゼリーやバー、高温耐性のある米、猛暑を乗り越えるからこそ生まれるおいしさや魅力を持つ野菜など、高温下でも品質と風味を保つ「耐暑食品」への期待は一層高まりそうです。

オイシックス・ラ・大地「猛暑順応ベジ “横綱パプリカ”  “カメレオンパプリカ” 」
画像引用元:PR TIMES オイシックス・ラ・大地「猛暑順応ベジ “横綱パプリカ” “カメレオンパプリカ” 」

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この記事を書いた方

山下智子

この記事を書いた方

株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子

加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。

http://himeko.co.jp/

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