清田産業株式会社

清田ダイアリー KIYOTA DIARY

生活者のマインドが明確に反映されるクリスマスケーキ市場

食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気

山下智子
株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授 山下智子

2015年12月01日

生活者のマインドが明確に反映されるクリスマスケーキ市場

 今年も残すところ1か月余り。街はすっかり、クリスマス商戦のイルミネーシヨンで賑わっています。消費意欲が高まるこの時期、クリスマス市場には生活者の景気観やマインドが明確に反映されます。そのひとつが、クリスマスケーキです。

バブル崩壊後、有名パティシエケーキが人気に

 バブル期、若者にとってクリスマスは人生の一大イベント。イブには、ホテルやレストランを予約。高級フレンチやイタリアンレストランは、クリスマス・スペシャルメニューを用意し、1晩3回転が当たり前でした。クリスマスケーキも、有名洋菓子店やホテルのリッチなケーキを、皆が争って買い求めました。
 バブル崩壊後、クリスマスケーキ市場は、長らく縮小傾向が続きます。
 景気が徐々に回復すると、ピエール・エルメやピエール・マルコリーニといった有名パティシエのスイーツ店が日本に上陸。辻口博啓氏の洋菓子店 “モンサンクレール” が人気になると、日本にもパティシエという呼び名が広がり、パティシエの名前を冠したクリスマスケーキがお目見えしました。

男女のパティシエと3種類のケーキ

リーマンショックでお家クリスマスが定着

 2008年に起こったリーマンショックによって、景気は一気に低迷。外食を控えて家で食事をする内食志向が高まると、クリスマスケーキ市場はさらに拡大傾向にシフトします。
 例えば、ロールケーキ人気でコンビニスイーツの評価が高まった2010年には、コンビニになんと1万円を超える “高価格ケーキ” がお目見え。増殖するおひとり様向けに、プチリッチな “ひとり用ケーキ” も販売されました。一方節約志向で、無駄なお金を使いたくない、失敗したくないという生活者にウケたのは、 “お試しケーキ” 。メーカーは、本番前にクリスマスケーキを1ピース販売。生活者は味を確認したうえで、ラウンドケーキを注文しました。

クリスマスケーキとケーキを食べる女性

震災後、絆消費でケーキ市場がますます拡大

 2011年、東日本大震災が起こると、「絆消費」が顕著になりました。家族や友だち、地元といった身の回りの人々やコミューンへの関心が高まり、絆を確かめるような消費が活発になったのです。クリスマスの過ごし方も大きく変化。日常生活の出費を自粛する分、「家族や仲間が集まるイベントは思い切り楽しみたい」という声が高まりました。そんな生活者のニーズを受けて10人以上でシェアできる “メガケーキ” や、祖父母が孫と一緒に食べることを想定、サンタクロースやキティちゃんなど孫が喜びそうなカタチを模した “3世代ケーキ” が市場を賑わせました。

サンタクロースのホールケーキ

アベノミクスでゴージャスに

 2012年から13年にかけては、アベノミクス効果も手伝って、お家クリスマスを奮発する傾向が加速します。ホームパーティにぴったりな、ひとつで複数の味が楽しめる “組み合わせケーキ” や、高価なフルーツやトリュフといった素材を贅沢に使ったゴージャスなケーキが人気を集めます。14年には、さらにゴージャス感を追求した “3Dケーキ” がトレンドに。宝石箱型やスポーツカー型など、インパクトのある立体的なケーキが話題を呼びました。

カップに入った様々なケーキと2種類のホールケーキ

今年のトレンドは多彩なシーン対応と低糖質

 では、今年はどうでしょう。目立つのは、クリスマスパーティを複数回行うことを前提にした多彩な品揃えです。クリスマス当日やイブだけでなく、12月に入るといろいろな場でクリスマスパーティが始まります。ママ友、習い事の仲間、職場の同僚、友人たち、恋人、家族。さまざまな関わりの中で生きている生活者は、複数のクリスマスパーティに参加します。その都度、ケーキは必需品。大人数用、少人数用、ふたり用など、多様なシチュエーションに対応したケーキが提供されています。
 さらにもうひとつ、 “低糖質ケーキ” も今年のトレンドです。医療機関と有名パティシエが協力して糖尿病の人でも楽しめるケーキの開発が行われていましたが、そんな特別なルートではなく、百貨店やコンビニなどフツーの小売店でも、低糖質のケーキや植物由来のケーキをラインアップするようになっています。低糖質あるいは糖質制限は、今や女性たちはもちろん、メタボが気になる中年の男性たちもチャレンジしている人気のダイエット法。そんな生活者にも、「おいしくてヘルシーなクリスマスケーキ」が手軽に入手できる市場になっています。
 いつ、どこで、誰と、どんなクリスマスケーキを、どんな風に楽しむのか。決して一言では括れないのが、今どきのクリスマスなのです。

ロウソクが立てられたケーキ

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清田産業では、メニュー、レシピ、調理方法、試作など、ご提案から開発までワンストップで対応します。豊富な経験と研究開発実績から、付加価値の高い製品開発を実現します。

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この記事を書いた方

山下智子

この記事を書いた方

株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子

加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。

http://himeko.co.jp/

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