清田ダイアリー KIYOTA DIARY
2015年、強まる ”癒し願望” で流行るもの
食のトレンドが映し出す生活者マインドと時代の空気
2015年08月03日
商品開発や販売促進、営業、メニュー開発等において、トレンドの把握と活用が、年々重要になっています。食市場を長年見続けてきて思うことは、食のトレンドが、社会情勢とそこから起こる生活者のマインドに大きく影響されるということです。食だけを見るのではなく、食を必要とし、楽しむ生活者を見、さらには生活者を取り巻く社会状況を見ること。このような見方、分析の手法が身に付くと、次のトレンドが見えることもあります。今回から始まる私のコラムでは、時代の空気と生活者のマインドを絡ませながら、その時々の食のトレンドを紹介したいと思います。
生活者の心で顕在化する「トライアングル関係」
アベノミクスは、格差社会の進行を助長、円安によって物価は上昇、2017年4月には消費税増税を迎える状況の中、生活者は、生活防衛のため「節約志向」を強めています。今年(2015年)4月に行われた調査では、景気回復を「実感している」は16%で、「実感していない」が78%。大手企業を中心に賃上げが相次ぎ、日経平均株価が2万円台を回復するなどの動きはありますが、実感は生活者まで広がっていないのが現状です。さらに、節約を強める人も増えていて、4月以降の節約の動向を聞くと、今年「節約しない」人はわずか3%。「節約」は、すでに ”生活者の消費の基本型” になっているようで、 ”締めるところはしっかり締めて、楽しむときはちゃんと楽しむ” という「消費の二極化」が起こっています。
先行き不安を抱えながら、節約が常態化している日々の中で、生活者の心には、ときに「癒し願望」が生まれます。頑張っている自分にたまのご褒美。「たまハレ消費」「自分ご褒美消費」として、いつもよりちょっといいもの、おいしいものを求める「プチリッチ志向」が生まれます。そして「プチリッチ消費」の後、しばし癒された生活者は、再び「節約志向」に舵を切るという図式です。「節約志向」と「プチリッチ志向」は「揺れ戻し」の関係にあると言え、さらに「節約志向」と「癒し願望」も「揺れ戻し」関係にあります。このトライアングル関係は、安全な食を求める「安全安心志向」や健康な心身を求める「ヘルシー志向」と同様、今後も毎年登場する不変のトレンドになると思います。特に、現在のように、政治や経済がイケイケなのに、生活者が取り残されている。このように、ふたつのベクトルが逆を向いているとき、トライアングル関係が顕在化すると考えています。

先行き不安な今年のトレンドは「癒し」がキーワード
そんな年には何が流行るのか。今年は、「甘じょっぱ」「W食感」「リバイバル消費」です。
「甘じょっぱ」とは、甘くてしょっぱい味。分かりやすい例では、「メープルベーコンドーナツ」があります。甘いドーナツにさらに甘いメープルシロップで作ったアイシングがかけられ、その上にカリカリに焼いたしょっぱいベーコンチップスが散らしてあります。米国ロスアンゼルスで流行っているスイーツですが、すぐに日本にも上陸することでしょう。実は、2007年にも、「甘じょっぱ」の食品が注目されました。甘じょっぱい「塩スイーツ」人気が起こり、マクドナルドからマックグリドルが発売され、甘じょっぱい朝食として話題になりました。近年流行のパンケーキも、最近は甘いメニューだけでなく、ベーコンや野菜をのせるなどした、朝食としても楽しめる甘じょっぱ味のものが登場しています。2000年代は、給与が伸び悩み、「実感なき経済回復」と言われた時代。不況対策としての量的金融緩和政策を2006年3月に解除したことから、翌2007年から景気の転換局面に入り、リーマンショックが追い打ちをかけました。経済は好調のようでも、生活者には実感がない。正に、現在と同じです。前向きになろうという気持ちと不安な気持ちが混在するとき、「甘じょっぱ」の味が出てくるのかもしれません。
また食感は ”時代を映す鏡” です。癒しの時代には、ふわふわ、とろーり、もっちり、シュワシュワといった柔らかでやさしい食感が求められ、元気で忙しい時代には、パリッ、カリッ、ポリッといった堅い食感が求められます。これは、食感が脳に到達する時間が後者の方が短いから。忙しい時代は、食感の伝達時間すら急ぐのです。そして今年は、2つの食感が楽しめる「W食感」がトレンドです。不況から好景気へ、またその反対に好景気から不況への過渡期や、生活者の気持ちと時代の流れが同じ方向に向いていないとき、節約志向が強いときに「W食感」が流行ると、私は考えています。
そしてもうひとつ、「リバイバル消費」。癒しの時代には、必ず、かつて流行したものが再び注目を集める「リバイバル消費」が活発になります。新しいものより慣れ親しんだもの、かつて知っていたもののほうが受け入れやすく、かつ懐古趣味も手伝って、癒されるようです。食市場では、コッペパンやフルーツサンド、レトロ駅弁や大衆酒場が、食以外では、ペアルックや60年代ファッション、バイクやサーフィンなどがリバイバルしています。

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この記事を書いた方
この記事を書いた方
株式会社ひめこカンパニー代表取締役女子栄養大学客員教授山下智子
加工食品や飲料の商品開発、コンビニやデパ地下の惣菜開発、飲食店のトータルプロデュース、スーパーマーケットの戦略作り等、食業界および流通業界全般に渡り幅広く活動。外食、中食、内食、そのすべてを網羅する広いビジネス範囲は業界屈指です。1アカウント3,300円で購読できる「食のトレンド情報Web」を配信。毎春、その年の食市場のトレンドをまとめた相関図を公表、講演をしています。
http://himeko.co.jp/